J1昇格とクラブの威信を懸けた決戦になる。J2清水エスパルスとジュビロ磐田の「静岡ダービー」が7日、アイスタで行われる。3位清水と2位磐田の勝ち点差はわずか「1」。昇格レースの行方を左右する大一番での守備のキーマンは清水DF吉田豊(33、富士宮市出身)と、磐田DF小川大貴(31、富士市出身)だ。県東部地区出身で左サイドバックが主戦場と共通点も多いベテラン2人がいぶし銀のプレーでチームの勝利に貢献する。

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心は熱く、頭はクールにプレーする。小川は磐田の下部組織出身。ライバルとの一戦の重みは誰よりも理解している。さらに、今年は昇格レースの最終盤で迎える重要な試合。舞台は整った。次戦はスタンドがオレンジに染まる敵地での一戦だが、「勝ち負け以上の価値がある試合だと思っている。強い気持ちで臨む」と勝利だけを見据えた。

ただ、冷静さも持ち合わせている。今年でプロ10年目。過去にダービーマッチは何度も出場した。小川は「感情を込めすぎても、いいプレーができなかった経験がある」。重要なのは90分間を戦って試合に勝っていること。時間帯や試合展開に応じた柔軟なプレーでチームに貢献する構えだ。

1-0で完封勝ちした前節長崎戦は13試合ぶりにフル出場。コンディション不良で欠場したDF松原后(27)の代わりに出番が回ってきた。相手の反撃を受けた試合終盤では「周りと声かけしながらできた」と、的確なコーチングで最終ラインを統率。ベテランの安定感で試合を締めた。次戦は球際での局面で負けないことを大前提に、「冷静なプレーをした方が勝利をたぐり寄せられる確率が上がる」と、自然体でピッチに立つ。

清水とは勝ち点1差。勝てばライバルとの差を広げられるチャンスだが、負けなければ順位が入れ替わることはない。「このプレッシャーも楽しみたい」と小川。敵対心は胸に秘め、勝つための仕事を全うする。【神谷亮磨】