<明治安田生命J1:神戸2-1名古屋>◇25日◇第33節◇ノエスタ

ヴィッセル神戸が、悲願の初優勝を果たした。勝てば優勝の名古屋グランパス戦で2-1。2位横浜との勝ち点差が4となり、最終節を待たずに決めた。タイトルは20年元日の天皇杯以来で、リーグは初。賞金3億円を獲得した。95年1月17日に阪神・淡路大震災に見舞われたクラブは、地元兵庫出身の吉田孝行監督(46)に導かれて、J参入27年目で、ついに頂点に立った。

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吉田監督を語る上で外せないのが、11年に急性心筋梗塞で逝去した元日本代表DF松田直樹さん(享年34)の存在だ。

同じ年、同じ月、同じ日に生まれて「本当に特別な存在だった」という盟友。U-17代表で意気投合し、滝川二の寮にある公衆電話から、松田の自宅に電話をかけるほどの仲だった。横浜でともにプレーした時は「いつも一緒だった」。情熱的で知られる松田さんが、弱みを見せる数少ない人物だった。「世間で思われている松田直樹とは違って実はすごく繊細だった」。

松田さんが倒れた、と一報を受けた際には、同学年の同僚だった宮本恒靖、吉村光示と松本に向かったが、新幹線の中で訃報を聞いた。11年8月6日、最後のお別れの後に迎えた埼玉スタジアムでの浦和戦。悲しみを胸に秘めて、気丈に戦って2ゴールを決めた。「マツが決めさせてくれた」と喪章を天の突き上げた。

盟友の死に「信じられなかった。彼の分も頑張らなきゃいけない」。いつまでもその思いを抱えて、サッカー人生を歩み続ける。【神戸担当=永田淳】