夏のインターハイ3位の日大藤沢(神奈川)が初戦で姿を消した。

地元等々力で大声援を受けた。ホーム感満載の中で前半6分、左サイドからMF諸墨清平(3年)がゴール前へ入れたクロスボールに対し、右サイドから走りこんだU-17日本代表MF布施克真(2年)が右足でゴール。幸先良く先制し、勝利へのムードは高まっていた。

さらに前半33分には左サイドから抜け出したMF諸墨が左足でシュート。ゴールバーに当たり真下へ。だがインゴールには入らず。ボールが10センチ下なら追加点となっている場面だった。

チャンスをつくりながら追加点が奪えないと、逆に後半は流れが近江へ。何度もピンチを迎えたが、全員で体を張って守りチャンスを待った。そしてアディショナルタイム、左サイドのMF安場壮志朗(3年)のピンポイントクロスから勝ち越し点を狙ったが、シュートはわずかに外れてPK戦へと突入した。

そのPK戦ではGK野島佑司(3年)が2人のキッカーのシュートをファインセーブしたが、5人目のMF岡田生都(3年)のシュートはゴール上へと外れた。高い技術を持つ選手をしても、80分間走り続けた足はもう限界だった。最後に相手5人目のシュートが決まると、選手たちはピッチに崩れ、涙を流した。

佐藤輝勝監督は「(近江は)いいチームでしたね。素晴らしいボールの動かしがあるチームで、うちもベストメンバーをぶつけたけど一瞬のスキを突かれた。PK戦の結果は仕方ないことで、2点目を取れなかったことが大きかった」と敗因を口にした。

チームは試合後、ロッカールームに閉じこもり、時間をかけて最後のミーティングを行った。目を赤くして部屋から出てきたMF佐藤主将は「インターハイの悔しさから、選手権は日本一になると意気込んでいたんですけど…。最初に点は取れたんですけど、局面で負ける場面が多かった。チームとして追加点を狙いにいったが相手の距離感がよく、奪った後にうまく攻められなかった」と唇をかんだ。

そしてミーティングでは1、2年生に対して主将としてエールを送った。その内容は「きれいごとでは勝てない。日本一というのは本当に遠い存在で、まだ今の実力では口にすることもできない。これから練習で積み上げていって、日本一を口にできるくらいに成長してほしい」というもの。また、同期に対しては「自分はあまりしゃべらなくて弱気な人間だけど、よく付いてきてくれてありがとう」と感謝の言葉を重ねたという。

選手層が厚く、経験値の高い選手もそろっていただけに「全国制覇」を目標に掲げた。それだけにあまりにも早すぎる敗退となった。

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