ガンバ大阪は16日、大阪・吹田市内の練習場で公開練習を行った。

この日の練習では、昨季のリーグ戦で出場停止の1試合をのぞく33試合でピッチに立った左サイドバックのDF黒川圭介(26)が、攻守に軽快な動きを披露した。12日の始動からここまでを「バチバチとした良いトレーニングができている印象です」と振り返る

沖縄キャンプが18日から始まるため、新しいウエア一式を発送したということで、この日は24番の練習着でプレーしたが、黒川が今季背負うのは4番。昨季までG大阪に13シーズン所属し、今季J3のFC琉球でプレーするDF藤春広輝(35)が、G大阪加入2年目から12シーズン背負い続けた番号を引き継ぐことになった。

12日のキックオフイベントで背番号が発表された際には、サポーターから多くの反響があった4番の継承。その経緯を、黒川本人が明かした。

黒川と藤春の間で背番号についての会話がされたのは、シーズン終了後に会った時のこと。その場で「24番にいろんな思い入れもあるだろうけど…」と切り出した藤春が、黒川に引き継いでもらいたいと打診したという。話を受けた黒川は「『4番をつけてくれたらうれしいな』と言ってもらって、その場でありがとうございますと伝えました」。

その後クラブから黒川に正式に背番号変更の話があり、あらためて藤春に確認した上で、4番で戦うことが決まった。

クラブから発表された14日時点でのユニホーム売り上げランキングでは、4番が1位。この状況に黒川は「まさかまさかの順位です。こういうランキングは前線の選手が(上位を)持っていくイメージがあるので、そこに1位で入れたのはうれしいです」と笑顔を見せた。しかし、すぐに「ただ、これはハルくんが長い間頑張ってきたこと、愛されていることがあるから」と先輩への敬意を口にした。

黒川も話すように、一般的に攻撃的なポジションの選手ユニホームに人気が集まることが多く、サイドバックの選手がトップに立つのは異例とも言えるが、G大阪の他にも、4番が人気を集めるクラブがある。藤春の移籍先である琉球だ。14日に琉球が初回受注分として発表したランキングで1位となったのは、藤春が背負う4番。G大阪で愛された藤春は、すでに琉球サポーターもとりこにしているようだ。

今オフ、G大阪の4番は争奪戦になる可能性があった。12日に行われた新加入選手会見の席で「本当は4番が良かったんですけど…」と話していた名古屋グランパスから加入のDF中谷進之介(27)が、名古屋でもつけていた背番号が空くと知り、要望していた。これを知った黒川は、中谷と会った最初に、背番号について会話したという。そこで中谷から受けたのは、愛のある言葉だった。

「初めてあいさつした時に(中谷から)『その話聞いたら4番つけれねえわ』って、冗談っぽく言われました(笑い)」。次の4番を狙うことを宣言したという中谷だが、今回は2人の関係に割って入ることはしなかった。

新たな背番号で心機一転臨むシーズンに向け、黒川は強く意気込む。「強いガンバを取り戻すために、自分がより一層覚悟決める意味で番号をもらったこともある。(藤春から)『ガンバ頼むぞ』とも言ってもらったので、目指してやっていきたい」。つながり続ける物語の新章が、ここからはじまる。【永田淳】