<J1:東京3-0湘南>◇第25節◇3日◇国立

 東京FW大黒将志(30)が、チームを11試合ぶりの勝利に導いた。前半38分、DF今野泰幸(27)のシュートのコースを変えて先制ゴール。トリノ時代に指導を受けた日本代表ザッケローニ監督(57)の目の前で、相変わらずの得点センスを見せた。リーグ戦9試合連続無得点だった点取り屋が復活し、就任2試合目の大熊清監督(46)は初勝利。チームも降格圏の16位から15位に浮上した。

 右CKからの今野のヘッド。大黒は、キャッチしようとした湘南GK野沢の前に飛び出した。左足に当たったボールはコースを変えてゴールイン。10試合ぶりの1発が、攻め込みながら得点が奪えなかったチームに勢いをもたらした。直後にMF石川が加点し、守備陣も4試合ぶりの完封で快勝。就任初白星の大熊監督も「大黒の先制点が大きかった」と感謝した。

 ワンタッチでコースを変える「大黒ゴール」。本人も「ああいうのは得意なんで」と振り返った。7月に加入して3カ月、長く苦しんだ。移籍2試合目の湘南戦、同3試合目の磐田戦に連続得点したものの、その後9試合連続不発。チームの順位も下降し、J1残留もピンチになった。「まだ1勝しただけ。これからが大切。チームをJ1に残さないと」と話した。

 1週間前には同じ聖地・国立で横浜FCのFWカズがゴールを決めた。6月まで一緒にプレーし、東京に移籍する時に撮った2ショット写真を大事に持っている。カズがゴールするたびに祝福メールを送るなど今でも関係は深い。「カズさんが決めたし、僕もと思っていた」。キングに続くゴールで聖地を再び沸かせた。

 中盤のケガ人続出でスルーパスが来ず、得意の飛び出しが通じない。以前なら「パスが来ない」と怒ったところだが、今は「今日みたいなチャンスを生かせれば」と冷静に話す。ザック監督とはトリノ時代の師弟関係も「まずチームで結果を残すこと」と代表に関する話は封印。ストライカーが決めて快勝。チームにリズムが戻ってきた。