指揮官の愛弟子から、大物助っ人の予感が漂ってきた。仙台MFマグリンチィ(27=セントラルコースト)が、鹿児島キャンプ6日目の1月31日、4対4を基本にした変則的なミニゲームで得点を量産。アーノルド監督(50)とともに日本にやってきた男が、高い潜在能力を発揮し始めた。

 マグリンチィが電光石火のごとくネットを揺らした。ミニゲーム開始を告げる笛の直後、後方からのスルーパスに絶妙なタイミングで反応。一瞬でDFの背後を突き、抜群のトラップから利き足ではない左足で決めてみせた。直後にはドリブルで2人をかわし、右足で強烈なシュートをたたきこむなどゴールを量産。来日から2週間で「だいぶ動けるようになってきた」と抜群のキレを見せている。

 まさに万能型だ。巧みなボールコントロールからの鋭いドリブルに視野の広さも併せ持ち、攻守の切り替えや相手へのプレッシャーも速い。自身のプレースタイルを「動いてDFを引っ張り、パスを供給して得点に絡むこと」と話すとおり、しっかり持ち味を発揮している。ニュージーランド代表として10年南アフリカW杯と12年ロンドン五輪に出場した実力は確かだ。

 日本とは縁があった。スコットランド1部セルティックでは元日本代表の横浜MF中村俊輔とプレー。「一緒にやれて光栄だった。FKは盗もうとしたけど難しかったよ」と笑顔で振り返る。それでもセントラルコーストでは「キッカーを任されていた」と言うように、監督の信頼が厚いからこそ日本にやってきた。

 国際経験豊かな助っ人は順応も早い。言葉も少しずつ覚え、周囲にボールを要求する場面も増えてきた。寒い仙台でも誰より薄着で、今キャンプでは1人だけ半袖短パンの元気印は「スコットランドも寒いので慣れている。鹿児島はオーストラリアのように暖かくて気持ちいい」とニッコリ。今日1日は鹿児島大と初の対外試合を迎える。マイキーの愛称で親しまれる男が、さらなる高パフォーマンスを見せる。【鹿野雄太】

 ◆マイケル・ライアン・マグリンチィ

 1987年1月7日、ニュージーランド・ウェリントン市生まれ。05年にスコットランド1部のセルティックに入団し、17歳でデビュー。07年から期限付きで同リーグのダンファームリンへ移籍。09年にセントラルコーストに加入し、10年はレンタル移籍したマザーウェル(スコットランド)でプレー。14年から仙台に期限付き移籍。スコットランドU-21代表とニュージーランドA代表経験を持つ。家族は夫人と1男。175センチ、68キロ。