カメルーンを率いるW杯4大会出場の“レジェンド”リゴネル・ソング監督(46)が、W杯監督初陣を飾れなかった。

前半からFWチュポモティングを軸にした速攻で決定機をつくったが、最後までスイスの伝統の堅守を崩せなかった。後半3分にFWエンボロに決められた1点が重かった。

国際サッカー連盟(FIFA)ランクは15位のスイスに対して43位。大方の予想もスイス優位だったが、前日23日の会見でソング監督は「すでにいくつかのサプライズを目撃した。ピッチの上に立ってみなければ勝敗は分からない」と、アルゼンチンを破ったサウジアラビアや、ドイツを撃破した日本に続くサプライズに自信をにじませた。

現役時代はDFとして同国歴代最多の国際Aマッチ137試合に出場。奇抜なトレッドヘアと頑強な体力で、その知名度と評価は世界でも高かった。W杯は94年米国大会に17歳で初出場して4大会に出場。キャンプ地の大分県中津江村(現日田市)への到着が大幅に遅れて話題になった、02年日韓大会では主力メンバーでもある。

今年2月に母国の監督に就任すると、同3月のアフリカ最終予選で、アルジェリアとを延長戦の末に撃破して、2大会ぶり8度目のW杯出場を勝ち取った。母国の英雄とあって、選手たちの信頼は厚い。カメルーンはW杯のたびに出場給などをめぐって、選手と協会で対立が繰り返されたが、元エースFWのサミュエル・エトーが協会長に就任して「今回はもめ事はない」と断言していた。

16年には脳動脈瘤(りゅう)で重体となり、一時生命が危ぶまれた。そんな自身の苦難も乗り越えて、戻ってきたW杯の舞台。自身が出場した4大会はすべて1次リーグ敗退。指導歴は浅いが、誰よりもW杯の厳しさを知っている男が、目標としている90年のベスト8を目指し、残り2戦に切り替える。