フランス代表FWキリアン・エムバペ(23=パリ・サンジェルマン)がハットトリックを達成し、8得点で得点王になったにもかかわらず、チームはPK戦で惜敗。史上3チーム目のW杯連覇はならなかった。

PK戦でもエムバペは1人目で登場し、この日3本目のPKをゴール左に豪快に蹴り込んだ。しかしフランスは2人目コマン、3人目チュアメニが失敗し、2-4で敗れた。エムバペは試合後、悔しそうな表情を浮かべながら、観戦した仏マクロン大統領になぐさめられた。

フランスは大会前からケガのアクシデントに見舞われ続けた。開幕後も体調不良の選手が続出。それでも地力、選手層が違った。イタリア、ブラジルに続く史上3チーム目の連覇こそならなかったが、前回ロシア大会で打ち合いの末に4-3で下したアルゼンチンを最後まで苦しめた。

デシャン監督の思い切った采配が的中した。立ち上がりの内容が悪く、前半に2点を失うと前半41分にジルー、デンベレという中心選手2人をいきなり交代させ、コロムアニ、テュラムを投入。後半35分にそのコロムアニが倒されてPKを獲得。これをエムバペが決めて1点差とし、さらに1分後にもエムバペが華麗な右足ボレー弾で同点とした。

延長後半にアルゼンチンに1点リードを許しても、再びエムバペのPKで追いつき、PK戦にまで持ち込んだ。

エムバペは準決勝モロッコ戦に勝利した直後には、所属のパリ・サンジェルマンの同僚、モロッコDFハキミに対し「悲しまないで、兄弟。みんなが君が成し遂げたことを誇りに思っている。君は歴史をつくったんだ」というメッセージを送る人間的な大きさも見せた。

エムバペはW杯初出場から2大会連続で頂点に立つという、「王様」ペレ氏に並ぶ快挙を成し遂げることはできなかった。だがチュアメニやカマビンガら有望な若手も次々に登場している。エムバペを中心に最強フランスの時代はまだまだ続きそうだ。

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