香川真司の所属するドルトムントが開幕から第9節まで首位の座を守り、近年と一味違うものになるかと思われた今季のブンデスリーガ。しかし第21節が終了した時点で、首位バイエルン・ミュンヘンと2位レバークーゼンの勝ち点差は18にまで拡大しており、よほどのことがない限りBミュンヘンのリーグ優勝という見慣れた光景は、今シーズンも避けられそうにない。「前人未到の6連覇達成」といえば聞こえはいいのかもしれないが、Bミュンヘンの圧倒的な強さがブンデスリーガに退屈さをもたらしているのも事実なのだ。

 そんな状況を打破しようと声を上げたのは、約20年間にわたりレバークーゼンの幹部を務め、ブンデスリーガを運営するドイツ・フットボールリーグ社(DFL)やドイツサッカー連盟(DFB)でも役職に就いていたウォルフガング・ホルツホイザー氏だ。同氏は「Sport1」とのインタビュー内で、「リーグ戦終了後に優勝決定戦を行うほうが良いと私は考えている。そうすればタイトル争いがより面白くなるし、サッカー面だけでなく財政的な面からも、トップチームとその他のチームの差が減少するはずだ」と、プレーオフ制度の導入を提案している。

 お隣オーストリアも南野拓実のザルツブルクが現在4連覇中で、さらに過去10シーズンのうち7度も優勝を飾るなど、ドイツと同様の問題に直面している国の1つ。しかしオーストリア・ブンデスリーガは2016年12月にプレーオフの導入を決定。2018-19年シーズンからは、ホーム&アウェーの総当たり2回戦を行った後、上位6クラブで優勝と欧州チャンピオンズリーグ出場権を争うリーグ戦、そして下位6クラブで欧州リーグ出場権と残留をかけてリーグ戦を行うことになる。(2018-19年シーズンから1部のチーム数は10から12に増加する)

 オーストリア・ブンデスリーガ運営部のトップを務めるラインハルト・ヘロビッツ氏は、大衆紙「ビルト」の取材に対し、こう答えている。

 「“優勝を予約しているクラブ”というのは多くのリーグに存在している。シーズンの半分が終わった時に優勝の行方が分かってしまうような状況で、ファンがワクワクできるだろうか? 私はそう思わない。だから我々オーストリアは、リーグのシステムを変えることにしたんだ。これについてはたくさんの同意を得ることができ、そしてクラブや選手からの反対意見はほとんどなかったと感じている」

 ただし、ビルト紙電子版が7日から行っているプレーオフ導入の是非を問うオンラインアンケートでは、9日23時現在で2万9989票が集まり、賛成20%に対し反対が73%。Bミュンヘンの独壇場ではあるものの、ドイツのサッカーファンがこの制度に納得するのはまだとうぶん先になりそうだ。