ウエスカFW岡崎慎司(34)が9日、久保建英(19)を擁するビリャレアルとのスペインリーグ開幕戦を13日に控え、オンラインでの会見を行い、意気込みを語った。

以下、一問一答の前半部分。

-2部ウエスカに新天地を求めた昨季を振り返りつつ、新シーズンへの意気込みを

岡崎 現実的に1部からオファーがありませんでしたし、自分もレスターではほとんどプレーしていなかったので、1年間をまず埋めないといけないというところでした。理想を言えば昇格、優勝というのはあったし、もちろん個人の成績で上がって1部でプレーしたいという気持ちも、FWとしてあった。まずは試合に出ないといけないというところで、現実的なオファーを受け入れて2部でスタートさせました。正直、生活のことだったり、ビザのことだったり、コロナのこととか、いろいろなことがあったりした。その中でも、スペインのサッカーというものに対して、イングランドやドイツとは違うスタイルの中でやっていくことに関しては楽しさを感じていましたが、やっぱり2部を抜け出さないといけないという思いでプレーしていた部分もありました。そういう意味では本当に理想的な形で勝ち取れて、いろいろな苦労のある中で勝ち取れたので、正直今は楽しみでしかありません。昨年も活躍できなかったら自分のヨーロッパのサッカーは終わりだなというくらいの気持ちで臨んだので。そういう意味では常に、ここからの1年1年はそういう思いでプレーしていくという感じ。自分には背負っているものもないし、楽しんでやれたらいいなと思っています。

-長いキャリアを踏まえ、新シーズンに向けての個性や強みは

岡崎 いろいろなものを経験してきて、ポジションを勝ち取るために点を取るだけではないプレーも求められてきた部分もありましたが、スペインでのプレーはより得点にこだわって、取れなかったら自分の価値がないぐらいの思いでここに来ました。それがチームのプレースタイルにもフィットして、自分のクロスや裏に抜け出した時のプレーを、常にチームが見てくれる状態にはなっています。今は昨シーズンの継続のまま、自分をよりうまいこと見てもらえている部分もあります。自分のクロスからの得点パターンが昨シーズン多かったので、そこでの駆け引きで、スペイン1部でもやれるかどうか、個人的にはそこひとつで勝負するくらいの気持ちがあります。

-ビリャレアルと開幕戦を迎える中、対戦相手として見た久保建英の印象や気をつけるべき点は

岡崎 ビリャレアルにはタケ(久保)以外にも有名選手が多いし、警戒するのはタケだけではないと思いますが、(久保は)日本人としては状況判断に優れていて、自分がいけなかったら他を生かすこともできるし、自分が仕掛けることもできる。周りの選手もより活きてくるプレーヤーだと思うので、1人だけに絞るのではなく、チーム全体で守らなければいけないなと思います。自分たちのサッカーが通用するかどうかという初戦なので、確実に相手を分析するというよりは、自分たちがつくり上げてきたものをやるというのがテーマと思います。チーム的にも個人的にもあまり意識し過ぎてはいない。ただ日本人対決で、初戦で当たるだろうなという感覚が自分の中にあった。タケと当たるというのは、個人的にはうれしかったですね。

-久保の印象的なプレーや実際に接してみての選手としての印象は

岡崎 一緒にプレーしたのは1年前ですが、この1年間1部でプレーしているので、テレビで見ても状況判断に優れていて、自分で仕掛けてゴールも取れ、アシストもでき、周りも生かせるという意味で、自由にさせてはいけない選手。周りも警戒しなければいけないし、タケ個人も警戒しなければいけないと思います。人間的にも常に貪欲ですし、それが昨年1年間の成長にも見られたのではないかと思います。年齢は関係ないと僕は思っているので負けたくないです。個人的には日本人対決とか開幕戦とかというのは、僕は結構相性がいいので、ゴールを取れて勝てたら一番いいなと思います。

-1部挑戦に向け、チームや個人で改善すべき点は

岡崎 多くの選手や関係者が、2部の方が激しくてスペースがなく、1部はスペースはあるけれど他のクオリティーが高くて個々の能力が高い、と言っています。まず自分たちのサッカーがどのくらい通用するのかというのを試す価値があるのではないかと思っています。今の段階で課題というのは正直見えてないですが、やっていくうちに課題が出てくると思いますし、チームも1部での戦いを経験しながら、残留するためにどう試行錯誤するか、早く改善できるかが鍵になると思います。やってみないと分からないという意味では、初戦なんかはとにかく自分たちのサッカーをぶつけるというのが最も大事じゃないかと思います。

-欧州でのサッカー生活10年目に突入する中、初めてスペイン1部でプレーすることに対する心境

岡崎 やっとスペインでサッカーできるというところで、昨年は2部で、少なからず違った環境の中でサッカーをできている楽しみを感じているんですが、ドイツやイングランドでプレーしてきた中で、欧州チャンピオンズリーグや欧州リーグで成績を残しているのがスペインのチームであるのを見ても、やってみたいなという希望をずっと頭の中で描いていました。それが正直かなうので、楽しみというか。そこでどれくらい自分が結果を残せるのか。どちらかというと短期決戦で結果を出しにきたという感じがあるので、この1年間で積み重ねられるのか、本当に勝負かなと思っています。

-34歳で1部に初挑戦するベテランとしてのメンタル面および同年代で活躍するスペインのベテラン選手の活躍については

岡崎 モチベーション面でいえば、スペインでプレーしたいという思いもあります。なぜそこに至ったかというと、どこでプレーしていても「スペインでは通用しないのかな」という声が僕の中では聞こえていた。世界一のリーグはプレミアリーグなのかスペインリーグなのかと、よく比べられていたけど、そこでやらないわけにはいかないなというのが、最大のモチベーション維持だった。やっとできるということでこの1年、モチベーションが切れることはないだろうなと思っています。

ベテランについていうと、なんでこの選手たちがゴールを取れるのかとか、そういうのを考えると、コツがあるなというのを思っています。その動きだしのテンポとか。スペインリーグはそういう時間があるリーグだと思います。だからこそ自分も昨季貢献できた部分があると思います。運動量だけじゃなくて、プレミアリーグは時間が流れるのが速かったと思いますが、スペインリーグはどちらかというとやりやすいテンポだと思うので、タイミングでパッと動いたりとか、その自分の良さを生かせるコツというのをベテランの選手はみんな持っていると思っていますし、それを自分も絶対に見つけようと昨季1年間やってきました。1部でもどれだけそれを見つけられるかが、活躍できるポイントだと思います。自分のチームのミケル・リコとかルイジーニョとかペドロとか、うまいなという部分がいっぱいあるし、そういう選手がいるということで勇気をもらえます。だからこそ自分もそういう選手みたいに活躍できたらいいなと思います。

(高橋智行通信員)