6月中旬から欧州各地で開催されているサッカーの欧州選手権「ユーロ2020」を発端に開催地で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、23日に開幕を控える東京オリンピック(五輪)にも影響を及ぼしそうだとNBCニュースが伝えている。

英北部スコットランドの保健当局は、開催から2週間でユーロ2020に関連して感染が確認された人は2000人近くに及ぶと発表し、ロシアのサンクトペテルブルクでも試合後に1日の死者が過去最高を記録している。東京五輪の組織委員会は選手や関係者に行動制限を行い、厳格なルールに従うように求めており、海外からの観客も禁止しているものの、それでも政府の感染対策専門家は感染が拡大する可能性が高いと予想していると伝えた。

世界保健機関(WHO)の欧州緊急対応を担当するキャサリン・スモールウッド氏は、スタジアム内で観戦した観客によるクラスターだけでなく、それ以外の場所でも多くの感染が起きていると指摘。試合会場への移動やバーやパブに大勢のファンが集まり密で大騒ぎしていることが感染を広めていると警告しており、東京でも試合会場以外の場所で興奮したファンらが感染を広める可能性も懸念される。

ユーロ2020がコロナの感染拡大につながったことを認めたWHOは、東京五輪がコロナの感染拡大につながらないよう慎重な対応が必要だと呼びかけたとロイター通信が伝えている。WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ氏は「ウイルスが存在し、予防策が講じられない場合は、ウイルスは拡散する」とコメントし、ユーロ2020を教訓に予防策を講じる必要があるとの考えを示した。感染力の強い変異種デルタ株が猛威を振るう中、「すべての人に行動に注意し、リスクに基づいて自らの行動を考えるよう呼びかけている」と語っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)