【オリベイラ・デ・アゼメーイス(ポルトガル)=高橋智行通信員】ポルトガル2部オリベイレンセンに新加入したFW三浦知良(カズ、55)のデビューはお預けとなった。招集メンバー入りが期待されたカズだったが、この日はベンチ外になった。チームはホームに前節4位のビラフランクエンセを迎え、前半に2失点したが、後半に追いつき2-2で引き分けた。直近6試合負けなし(4勝2分け)となった。

試合後、カズはインタビューに応じ、チームの印象や自身のコンディションなどについて語った。一問一答は次の通り。

   ◇   ◇

--ホームゲームを初観戦した感想

「チームも先週もいい勝ち方してて、今週の練習もいい準備ができてたんでね。勝利したかったと思うんですけど、前半ああいう展開になってね。後半追いついて、流れの中でやっぱ負けなかったことは大きいかなと思いますね」

「今は1ポイントでも重ねることがこういう3部から2部に上がって、今年は絶対に2部から落ちないっていうことをクラブは目標としていますのでね。後半戦が始まってこういう展開で、相手は(前節まで)4位のチームですからね。そこに引き分けたってことはホームですけど、結果的には負けなくてよかったんじゃないですかね」

-チームのやっているサッカーの印象について

「このチームというよりも、この前の試合も見ましたけど、やはり前に行く推進力っていうのはすごく高いし、ゴールに向かってくパワー、1人1人の力強さっていうのは日本とまた違ったクオリティーとしてあるなっていうのを感じていますけどね。前に前にっていうね」

-ポルトガルリーグの印象について

「まだ10日しか経ってないんでね。ただ思ったよりも、なんて言うんですかね。ファーストディビジョン(1部)とセカンドディビジョン(2部)って違うと思うんですけど、セカンドディビジョンを2試合、自分のチームを見たんですけど。相手も含めて3チームを見たんですけど、やっぱり両チームとも縦に速いですし。もうちょっとタメがあるのかなと。ポルトガルとか技術っていうイメージがすごくあったんで、タメとかあるのかなと思ったら、あんまりそのタメっていうのがなく、前に前にっていう感じの印象がこの2試合見て思いますね」

-今季の目標について

「みんな仲間として、監督、コーチ、みんな含め、選手もそうなんですけど、本当に快く受け入れてくれて。正直言って、僕の年齢から考えるとなかなかこういうことってあり得ないことだと思いますんでね。そこをみんながちゃんと受け入れてくれてね。練習でもみんなよく声かけてくれますし」

「ここにブラジル人選手が7人いるんですけど、ブラジルの選手を誘って食事なんか行ったりしてね。すごくみんな親切にしてくれますし。そういう意味では、まだまだ本当に1週間ちょっとしか経ってないんでね。自分もいろんなことに慣れるのが必要なんで、サッカーも含めて、生活も含めてね。もう少ししたら、リズムがもっと出てくるかなって思いますね。なので自分としてはピッチに1分でも長く立っていられるように努力したいなと思ってます」

-練習について

「練習自体の内容に関しては世界も共通してると思うんで、今、情報がどこでも手に入る時代ですからね。日本もそうですし、ブラジルもここもそうだと思いますけど。でも、強度はやっぱり高いですし、1人1人の体がやはりデカいですからね。そのへんは強度もパワーもさっきも言ったようにあります。そういうのがあるし、練習でやれていることでも試合になったら、また2ギアか1ギアぐらい上がると思います。実際、中に入ったら、それはもう大変だと思いますよ」

-その中でもやっていけるという自信は?

「まだ、そこまで自分で自信って言えるほどのものはつかめていませんけど。練習を積み重ねて、試合に出られるコンディションを早く作りたいなと思いますね」

-現在のコンディションについて

「本番の試合っていうのは、去年のJFLの11月20日が最後だったんで。その後は練習試合を何度かやって。横浜FCのキャンプでも2試合の練習試合に出場して。いろんな慣れも含めてまだまだじゃないかなと思います」

-ポルトガル語を本格的に使うことについて

「元々そんなにうまくないんでね(笑)。ただ、ポルトガル語に慣れているという部分では、特にグラウンドの上では慣れている部分があるんで。ただポルトガルとブラジルのポルトガル語はちょっと違う部分があり、監督もマデイラ島(ポルトガル南部の島)の人なんでちょっと。あの人の言葉は速くしゃべられると何を言っているか分からないので」

「でもブラジル人選手のは分かるんで、ブラジル人選手にちょっと(聞いて)。グラウンドの中では違う単語の使い方があるんで。サッカー用語だったりいろいろなところが違いますね。例えばこっちだとシューチ・リブレ(chute libre)って言ったらフリーキックですが、ブラジルではそんなこと言わないですから。ブラジルだとコブランサ・ジ・ファウタ(cobran〓(セディラ付きC小文字)a de falta)って言いますから。GKもグアルダ・レデシュ(guarda-redes)ってこっちだと言いますよね。だけどブラジルはゴレイロ(goleiro)ですからね。そういうのも違ったりとか。いろいろと違う時もありますが、分かるには分かりますし、聞けばすぐに分かる」

「グアルダ・レデシュって言っても、キーパーだったら網を守る人っていう感じで言い方が違うんで、そういう単語がたくさん入ってくると分からなかったりするんでね。まあ、それも徐々に慣れていくって言ってもね…でももう実際は4カ月切っちゃってますから、シーズンが終わるまでに。そういう意味ではあっという間に過ぎてしまうんですけど。1日1日を大事にして、いいポルトガルでの生活になるように努力したいなと思います」

   ◇   ◇

プロ38年目となるカズは、所属先のJ1横浜FCからの期限付移籍。期間は今季終了までの約4カ月間となる。横浜FCの親会社「ONODERA GROUP(オノデラ・グループ)」が昨年11月にオリベイレンセの経営権を取得。両クラブ間の関係強化策が進む中、欧州サッカー界も驚く55歳での欧州挑戦が実現した。

海外クラブでプレーするのはブラジル、イタリア、クロアチア、豪州に続いて5カ国目。現地時間2月1日午前11時11分に移籍を発表し、「新天地でも自分らしく、プレーしている姿を届けられるように努力いたします」とコメントしている。

昨年は日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズに期限付き移籍し、18試合に出場して2得点。2月26日で56歳となるが、今も衰えぬサッカーへの情熱でピッチに立ち続ける。