6月14日(日本時間15日)、日本代表がFIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会の1次リーグ初戦、オランダ戦に臨む。角界屈指のサッカー通として知られる大相撲の元横綱鶴竜の音羽山親方(40)が取材に応じ、日本の“過去最高”を願った。
過去4度、日本はベスト16の壁に阻まれてきた。「今度こそは」と期待を寄せる。
「絶対にベスト8に行ってほしい。そこを抜けたら、さらに行けるのではないかと思う」
前回の22年カタール大会は、ドイツ、スペインと強豪と同組。そこから決勝トーナメントに進出した。今回はオランダ、チュニジア、スウェーデン。参加国増加により、最大3チームが1次リーグを突破できる可能性もある。それでも、気を引き締めた。
「油断はできない。しっかり勝つことが大事。日本のレベルが上がっていることは間違いないけど、オランダ相手にはどうなるか分からない。チュニジア、スウェーデンもばかにできないけど、この2チームに勝つことは絶対条件」
カタール大会時は、陸奥部屋の部屋付き親方だった。23年に独立し、今は部屋の“監督”を務める。チームをまとめる難しさも、分かってきた。
「それぞれ性格も、育った環境も違う。みんなが同じ事をしなければいけないんだけど、やる気を出させるには、工夫しないといけない。監督は選手の代わりにやる(プレーする)わけにいかない。モチベーションを上げて、作戦を教えて、あとは選手がやる。これはとても難しい」
初めてテレビでW杯を観戦したのは94年米国大会。次の98年フランス大会から、日本は8大会連続でW杯に出場してきた。今回の代表の魅力は「中盤の厚さ」と熱弁。注目選手にはMF久保建英(25=Rソシエダード)に加えて、MF中村敬斗(25=Sランス)の名前を挙げた。
「初めてのW杯でしょ? 新戦力が、W杯ではスターになる。ゴールへどんどん自信を持っていってほしい。昔の日本はパスで崩そう、崩そうとしていたけど(中村など)今の選手は思いきってシュートを打てる」
16強の壁は高い。競技は違えど、自身も壁を乗り越えてきた。
「相撲でいうと、勝てない相手と当たるのと一緒。壁に当たって、ずっと負けている相手にどうやって勝つのかっていうのと、気持ちは似ているんじゃないかな」
自身は09年夏場所で小結、同名古屋場所では関脇に昇進。平幕に戻ることもありながら、24年に大関昇進を果たした時期に重ねた。
「自分は壁にぶち当たりながら、壁を乗り越えていった。順風満帆で行ったわけではない。壁に打ち当たって、下がって、そこを打ち破って、と繰り返してきた」
壁の乗り越え方は、学んできた。
「壁を越えることばかりを考えてしまうと、いざその時になったら、プレッシャーになってしまう。考えすぎず、固くならないでほしい」
今大会は“横綱”がいないことが、W杯の魅力を引き立てる。
「今は圧倒的なチームがいない。差がどんどん縮まってきている。自分が見始めた頃は、ブラジル、イタリア、ドイツ、イングランド…とか決まった国だけが上に行っていた。今は、絶対はない。前回のフランスは、本当に強いと思った。でも、悪いけど、エムバペとか以前の輝きがないように見える。だからこそ、日本はベスト8じゃなくて、優勝の可能性もゼロではない」
日本はF組初戦でオランダと対戦する。壁を越える戦いが、幕を開ける。【飯岡大暉】


