陸上の日本実業団連合は8日、山口市内で理事会を開き、選手の移籍の新ルールを決定した。

元の所属チームを選手が円満に退部しなかった場合に「無期限」で登録を認めないという規定を撤廃した。新たなルールでは「選手」「元所属先」「新所属先」の間で移籍協議が合意に至らなくても、選手は新たな所属先で登録ができる。ただ、その場合、地域連盟が元所属チームに過失がないなどと判断すれば、「出場待機期間」として最大で1年間は駅伝など連合主催の大会に出られなくなる。個人種目では出場できる。

従来の元チームから「円満移籍」の了承を得なければ、移籍先で無期限に選手登録できない規定は、過去に引き抜き行為によって、チームが崩壊した事例があったことで整備された。しかし、公正取引委員会からは独占禁止法違反の可能性があるとして改正を要請されていた。選手の立場が弱いことで生じるハラスメント行為も問題視されていた。

西川晃一郎会長は「アスリートファーストの視点とファンファーストの2つを両立させるためには、選手の移籍の自由を保障することも欠かせない要素と考え、新しい移籍ルールを含む今回の新登録規定をつくりあげました。一方で、選手の登録、移籍をめぐってもフェアプレーの精神は尊重されなければならない、という視点も織り込んだものとしました」とコメントした。