所属先が自分のために開発した「ちょい厚」シューズを再び履き、運命の一番に臨む。名古屋ウィメンズマラソン(8日号砲)に出場する岩出玲亜(25=アンダーアーマー)が7日、早朝練習後に取材に応じ、昨年9月のマラソン・グランドチャンピオン(MGC)と同じシューズで臨む意向を示した。

以前は実業団チームの一員だったが、安定した環境を捨て、2017年にプロランナーに転向した。新たな所属となったアンダーアーマーは、岩出のためにトップランナー用シューズの開発に着手。試行錯誤と改良を重ね、少しだけ厚底で黒いカラーの「レイアモデル」をMGCに向けて用意した。そのレースでは最下位に終わったが、岩出はシューズに敗因を求めなかった。名古屋ではくシューズは「(MGCと)変わっていない。カラーリングも同じ」。同じモデルで、半年前の雪辱に挑む。

MGCの最後は沿道の観客とハイタッチをしながら完走し、プロ意識を示した。6日の記者会見では開口一番、この情勢でも大会が開催されることに感謝。この日も「世の中に明るいニュースを届けられるように」と意気込んだ。プロとして自分の走りで人々を勇気づけたい。「実業団にいたときは自分にしか目を向けられなかったけれど、プロになって少しは視野が広がったかな」と心の成長も感じている。

五輪切符獲得の条件は、1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が記録した2時間21分47秒を上回り、日本人最上位になること。「覚悟がないと切れないタイム」を目標に、強い意志を持ってスタートラインに立つ。【奥岡幹浩】