高校3年生が勢いのあるスパートで、存在感を発揮した。

陸上の金栗記念選抜中長距離大会が8日、熊本・えがお健康スタジアムで開催され、下森美咲(福岡・北九州市立高)が女子1500メートル1組に出場。外国人選手や実業団の選手に引けを取らない走りを見せ、1位でフィニッシュした。

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「冬季の時に長い距離の練習をしてきた分、スタミナがついた自信はあります」。その言葉通り、下森は後半で強さを示した。

中盤まで3位集団を形成し、ラスト600メートル過ぎからペースアップ。400メートル過ぎに2位をとらえると、最後の直線で軽やかにラストスパートをかけ、トップでゴールした。

「今日は『順位を大切にして走ろう』と先生に言われていて。(終盤は)前が見えてきたので、これは抜かすしかないと思って、ラスト頑張りました」と澄んだ表情を浮かべた。

下森は昨年6月のU20日本選手権の女子1500メートルを制した実力者。今月2日には都内で行われた中距離大会「THE MIDDLE」女子1000メートルに出場し、田中希実(23=ニューバランス)と2人きりで試合に臨んだ。

レース前後には関西弁で話しかけられた。憧れのオリンピアンとのかけがえのない時間。「とてもいい経験をさせていただきました。刺激になりました」と笑顔で振り返った。

今季は高校ラストイヤー。1500メートルにも力を入れていく。

「今までは800メートルをしてきたんですけど、今年はインターハイの1500メートルで3位以内を目指しています。3000メートルにも出場して、決勝に残れるように頑張りたいと思います」

熊本の春の陽光を浴びながら、ひときわ明るい声で誓いを立てた。【藤塚大輔】