青山学院大(青学大)の宇田川瞬矢(2年=東農大三)が男子1500メートル決勝に臨み、3分44秒03で2着となった。優勝こそ逃したものの、前回までの大会記録を0・51秒更新。箱根駅伝の王座奪還へ、1人1人がトラックシーズンで力を伸ばしていく。

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スタートした瞬間、青学大の宇田川と山内健登(4年=樟南)がすっと前へ出た。ハイペースで引っ張った。

山内は1000メートル付近でペースダウンするも、宇田川は最後の直線まで粘った。競り合いに持ち込み、2着でフィニッシュした。

すがすがしく笑う宇田川は、大学入学以降、冷静に自らと向き合ってきた。「スピードにはかなり自信があるんですけど、スタミナも心配なところがあったので、そこは(青学大の)先輩方には劣っていると思いました」。今はスタミナの強化を図りながら、レースで経験値を高めている。

昨季の青学大には、今年の箱根駅伝で9区区間賞を獲得した岸本大紀(現GMOインターネットグループ)や同駅伝で2区2位の近藤幸太郎(現SGホールディングス)ら、強力なランナーがそろった。ただ、その戦力をしても、箱根路は3位に終わり、駒澤大に大学3大駅伝「3冠」を許した。

宇田川は「先輩たちはほんとに強かったです」と繰り返しつつ、正直に打ち明ける。

「その先輩たちに頼りきってしまっていることがありました」

入学当初は上級生の脚力に圧倒された。「先輩は強いから負けてもいいや」。いつしかそう思うようにもなった。

1年が過ぎ、下級生を迎え入れた今、チームは「今年はそういうことにはならないように」と誓い合っている。

毎月の目標管理ミーティング。年間目標の話し合い。じっくり時間をかけ、足もとを見つめ直した。

宇田川自身も、後輩や他大学のライバルたちに対し「負けていられない」という思いが増している。

個人の目標は箱根駅伝を初出走することだ。

「箱根駅伝への通過点として、まず前期は土台作りをしたい。(1区間の距離が短い)出雲駅伝(10月)を走る可能性があると思っているので、そこを狙っていきたいです」

フレッシュグリーンの一団としての自覚を胸に。誰にも負けるわけにはいかない。【藤塚大輔】