16日に閉幕した陸上のアジア選手権(タイ・バンコク)女子5000メートルで日本勢初優勝を果たした山本有真(23=積水化学)が17日、羽田空港に帰国し、選出の可能性がある世界選手権(8月19~27日、ブダペスト)での好走を誓った。

山本は16日のレースで15分51秒16をマーク。「もともとは3番以内に入れればいいかなと思っていたので、自分としては金メダルを取れたことはうれしいです。タイムも15分50秒くらいで3番以内と考えていたので、その目標は達成できた」と充実の笑みをたたえた。

名城大時代は1年時から駅伝で活躍した。昨年9月の日本インカレで5000メートルを制し、今年2月のアジア室内選手権3000メートルでも銅メダルを獲得。今季の目標には世界選手権出場を掲げた。

ただ、大学卒業前に左膝や右足底を痛めた影響もあり、今春の実業団入団以降は思うような走りができなかった。描く未来と現状との間で「焦り」を感じた。

そんな時、積水化学の野口英盛監督から「世界選手権に出なきゃいけないと思っているんじゃないか?」と声をかけられた。その言葉に救われた。「そこから気持ちを切り替えて『出たい』っていう自分の気持ちで走るようになってからはすごく記録も伸びてきた」。失いかけていた自発性を取り戻し、一気にアジアのチャンピオンへと駆け上がった。

その世界選手権への選出可否は他の選手の状況次第となるが、出場した場合は攻めの走りを貫くと決めている。

「もし決まったら、出るだけでなく、しっかり自分の爪痕を残せるような走りがしたい」

恐れることはない。走りに熱を込めていく。