全国高校総体(インターハイ)の陸上競技が8月2日に札幌市内で開幕する。日刊スポーツ東北版では3回連載で活躍が期待される注目選手を紹介します。第1回は、秋田令和のスプリンター三浦夏恋(3年)です。三浦は、6月の東北大会女子200メートル決勝で追い風参考ながら23秒77をマークし優勝。2位に0・3秒以上の差をつける快走で頂点に立った。総体で再び23秒台をマークし、優勝を目指す。

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秋田令和のスプリンターが北海道を駆け抜ける。「インターハイにつながるレースになりました」。昨年マークした24秒67よりも0・9秒も速い23秒77。「正直びっくりしました」と驚いたが、「100メートルで優勝した(千葉)安珠ちゃん(宮城・常盤木学園)や400メートルで優勝した(赤坂)美結ちゃん(山形中央)ら、すごくレベルの高い人たちと競わせてもらったおかげで、インターハイにいい流れで入れるようなタイムを出すことができた」と胸を張った。

結果以上の収穫があった。「コーナーでピッチを上げて、後半に入るのがレースプラン」。だが、残り100メートルからギアを上げても最後に失速するのが課題だった。しかし、この日は「そのまま最後までスピードを落とさず行ききれた」。プラン以上の走りで23秒台をマーク。「スピードを落とさずに行く感覚、23秒台の感覚をつかめたことがすごく良かった」と手応えを感じた。

昨年の東北大会は200メートル3位、400メートル5位。4×100メートルリレー2位、4×400メートルリレー5位と4種目で全国切符を勝ち取った。しかし、新型コロナの影響でチームが出場辞退。心待ちにしていた夏は、悔しさだけが残った。去年の8月、「先輩方の分も自分が絶対に来年走る。それで全国で優勝する」という目標を掲げ、今大会は優勝した200メートルのほかにも、100メートル、4×100メートルリレー、4×400メートルリレーで2位に輝いた。三浦は「この目標を掲げてずっとやってきて、やっと結果が出てきたかなと思う」としみじみ語った。高校総体では「どんな状況でも、もう1度23秒台を出す」と宣言。昨夏の200メートルの優勝タイムは24秒32だけに、23秒台が出れば優勝にグッと近づく。100メートルの自己ベストは東北大会予選でマークした11秒98。これは昨夏の女子100メートル3位のタイムと同じ。どの種目でも全国で戦える可能性がある。全国の頂点を見据える秋田“令和のスプリンター”が、今度こそ楽しい夏を謳歌(おうか)する。【濱本神威】