今日19日、陸上の世界選手権がブダペストで開幕する。男子110メートル障害の泉谷駿介(23=住友電工)は、同種目で日本勢初の決勝進出の期待がかかる。6月の日本選手権で日本新記録となる13秒04を樹立。世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)ローザンヌ大会ではDL初出場初優勝を飾った。表彰台ラインの13秒0台は今季3度マーク。メダル獲得も期待される男が、世界舞台へ挑む。

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「短距離ハードルは世界から一番遠い種目と言われていたが、今や世界から一番近い種目となっている」。日本陸連・山崎一彦強化委員長(52)の言葉の通り、ハードル界はこの約20年で1歩ずつ、着実に世界に近づいてきた。

10台のハードルを越えながらスピードを競う障害種目。体格で劣る日本人は不利とされてきた。しかし、01年の世界選手権400メートル障害で、為末大が銅メダルを獲得。この短距離種目での日本人初の快挙をターニングポイントに、風向きが変わった。

その土台には、ハードル間の速度アップと、足さばきのスキル向上が挙げられる。110メートル障害では、18年に金井大旺が13秒36をマークし、14年ぶりに日本記録を更新。そして3年後の21年東京五輪では、泉谷とともに日本勢2人が57年ぶりに準決勝のレーンに立った。泉谷は「身体が小さい分、素早い動きができる」と話す。確かなトレーニングによって高められた基盤×技術が、進化と躍進につながっている。

 

◆泉谷駿介(いずみや・しゅんすけ)2000年(平12)1月26日、神奈川県生まれ。横浜緑が丘中、武相高を経て、18年に順大へ進学。22年に住友電工入社。21年日本選手権で日本人初の13秒0台(13秒06)で東京五輪代表入り。同五輪は同種目日本勢57年ぶりの準決勝進出。22年世界選手権は準決勝敗退。23年日本選手権で日本新記録(13秒04)樹立。好物はコーヒー。

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