男子5000メートル高校記録保持者の順大・吉岡大翔(1年)が、日本勢トップとなる14分00秒43で4位に入った。ただ、その表情はさえず、引き締まったままだった。

並べたのは反省の弁。13分52秒16で優勝した創価大のリーキー・カミナを筆頭に、表彰台は留学生3人が独占した。冷静に力の差を見つめていた。

「日本人選手ではトップかもしれませんが、留学生選手とこれだけ差がついてしまっているので、重く受け止めて、今後の駅伝へ向かっていきたいと思います」

常に謙虚な姿勢を崩さない吉岡だが、この日は一段と厳しい評価を下した。比べていたのは過去の自分。同種目で13分22秒99をマークした長野・佐久長聖時代と今の走りとを重ね合わせ「高校時代と比べたら勝たなきゃいけないレースと思っている。まだまだ」と自らに言い聞かせるように振り返った。

その険しい瞳が見据えるのは世界の舞台。留学生選手への対抗心は、先輩たちの背中を意識したからでもあった。

「1学年上の佐藤圭汰さん(駒大)であったり。それから(順大の)OBである塩尻(和也)さんは世界陸上にも出場されていて。同学年の選手だけでなく、いろいろな選手を見て、自分ももっと頑張らないといけないと思うようになっています」

10月からは駅伝シーズンが本格化する。初陣となる10月9日の出雲駅伝までは約3週間。「最後は笑って卒業してほしい」と4年生への感謝を込め、初の3大駅伝へ乗り込む。勝負に対する強い思いが、決意に表れた。

「自分が負けた1秒が、結果的にチームとして大きな差になってしまう。チームで駅伝を走る責任を持ちながら、今回のレースで出た差を縮められるようにしていきたいです」

まずは駅伝でチームに貢献するために。1秒の差にこだわり続ける。【藤塚大輔】