“仮想箱根5区”の一戦は、冷たい強風が吹き付ける過酷なコンディションの中で展開された。

激坂最速王決定戦2023が18日、神奈川県・ターンパイク箱根特設コースで行われ、登りの部(13・5キロ、小田原料金所~箱根大観山口)は山本雷我(国士舘大4年)が54分11秒(速報値)で制した。弓削征慶(山梨学院大)が約8秒差の2位で、吉村颯斗(東京農業大)が3位に入った。

1キロ近い標高を駆け上がる特殊コースで争われることから、箱根駅伝の5区を想定して出場する選手が増えているこの大会。昨回5位で、今年1月の箱根駅伝で5区(区間11位)を務めた山本が終盤の逆転で優勝をつかんだ。

正面から冷たい風が吹き続けても、心は折れなかった。2番手で機をうかがい、勝負どころでスパート。過去2度このコースを走っていた経験が生きたとうなずき、「優勝を狙っていたのでうれしい」。緊張から前夜はなかなか寝付けず、「その影響からか、レース中に腹痛があった」という。天候に体調と悪条件が重なった中で勝利をつかみ、約1カ月半後の本番へ向けて自信を深めた。

今年1月の箱根駅伝では区間11位ながら、チーム順位を2つ押し上げた。今年も各大学が山登りのスペシャリストを5区に配置するとみられる。注目選手がそろう中で、「5区で区間5位以内が目標。シード権獲得に貢献したい」と誓った。【奥岡幹浩】