わずか1秒の差に泣いた。女子の仙台育英(宮城)が、神村学園(鹿児島)と1秒差の1時間7分29秒で2年連続2位。1区細川あおい(2年)が3位でタスキリレー。2区デイシー・ジェロップ(2年)で首位に立ち、3、4区で首位を守ってアンカーの橘山莉乃(3年)へ。橘山は16分11秒と区間日本人2位のタイムで走り切ったが、最後のトラック勝負で神村学園カリバ・カロライン(3年)に競り負けた。

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橘山が膝から崩れ落ちた。第4中継所では2位と30秒差、神村学園とは1分20秒差でつながったタスキに、「絶対優勝できると確信してスタートした」。レース終盤、後ろからカロラインが迫っていることは分かっていたが、「石畳に入ってから『絶対に優勝できるよ』といろんな人が声をかけてくれた。自分の優勝テープを切る姿だけをイメージしていました」。ただひたすらに、ゴールテープに向かって走り続けた。しかし、ラスト100メートルを切ったところでカロラインに並ばれ、最後は競り負けての2位。自身最初で最後の都大路は「悔しい気持ちしかありません」と涙を流した。

入部当初から、都大路でアンカーを走ることを夢見ていた。1、2年時は貧血や自信を持つきっかけがなかったこともあり、走ることはかなわなかった。だが、冬場にじっくり体と向き合って貧血を改善、体を強くしてきた。今年3月のレースから1歩ずつ自信をつけて、ようやくチャンスをつかんだ最後の冬。「1、2年生にも優勝を見せてあげたかった」。その思いはかなわなかったが、涙ながら、どこか晴れやかな声で「最後の3年目でアンカーを走れた。諦めずに取り組んできたことが今につながってよかった」と、3年間を振り返った。

橘山は、4月からは実業団で競技を続ける。「この3年間で一番悔しい思いをした。絶対にオリンピック選手になってこの悔しさを晴らしたいです」。悔しさを胸に、夢に向かって走り続ける。【濱本神威】

▽釜石慶太監督 「7年連続でメダルとなった。これは本当に誇れるもの。生徒も胸を張って、次のステップに向けて頑張ってほしい」

▽細川あおい(2年) 「(涙を流しながら)莉乃先輩がトラックまで先頭を走ってくださった。ラスト勝負も、絶対に苦しい中で最後まで諦めずに走ってくれた。感謝したいです」

○…仙台育英(男子) 2時間4分33秒で8位入賞。9位でタスキをもらったアンカー鈴木大翔(1年)は、千葉裕司監督から「そのままの順位でゴールまで持ってこい」と声をかけられたが、「今までのきつい練習でメンタルが鍛えられた」という強心臓でラストスパート。「入賞するなら他の6人にはもう頼れない。『やるしかない』と、1秒でも速くゴールに着くことだけを考えました」。最後のトラックで前を抜き、入賞を決めた。来年に向けては「反省して、しっかり来年に生かせるように」とさらなる活躍を誓った。

○…学法石川(福島) 増子陽太(1年)が、エース区間の1区で29分6秒をマークし5位に入った。「自分的には100点満点の走りだった」。想定より速いペースにも「いけるな」と落ち着いてレースメーク。10月の県駅伝では目標の29分10秒切りに大きく届かず、30分22秒。しかし、この大舞台でその目標を達成し、「この1カ月で成長できたという達成感がある」と笑顔を見せた。チームは17位に終わったが、2区斎藤一筋(いちず、3年)が首位でタスキを渡すなど、強さを見せた。

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