宮城の6区(4・0875キロ)を走った橘山莉乃(18=仙台育英高)が、区間2位となる13分12秒の快走で29年ぶり2度目の優勝に貢献した。

高校の後輩である長岡みさき(17=仙台育英高)から4位でタスキを受けると、橘山はそこから前に出て3位でつないだ。「高校最後に優勝で終われてうれしいです。この京都で悔しい思いをして、その悔しさをエネルギーに変えて頑張ろうっていう思いで乗り込んできたので良かったです」。

同じたけびしスタジアム京都発着で行われた昨年12月24日の全国高校駅伝に、橘山は仙台育英(宮城)のアンカーとして出場した。首位でタスキを受け、スタジアムにもトップで戻ってきたが、最後の直線、ゴール直前で神村学園(鹿児島)のカリバ・カロライン(3年)に抜かれる大逆転負けを喫した。あまりのショックに崩れ落ち、人目もはばからずに号泣した。

当然のように、敗戦のショックは後を引いた。「正直立ち直れなかった。直後は早く悔しさを晴らしたいと思っていたけど、時間がたつにつれて申し訳ない気持ちが強まって、練習に対する意欲もなくなっちゃった」。悔しさは時間の経過とともに、無気力にもつながっていたという。

そんな橘山を変えたのが、周囲の応援や届いた手紙だった。「みんなから『すごいかっこよかったよ』、『感動した』と声をいただいて、自分が頑張ることで刺激を与えられる存在になれたと思えた。ここでくよくよしてちゃだめだって思いました」。

再び前を向いた橘山は、戻ってきた京都の地で、たくましい走りを披露。「諦めずに、あの1秒の重みをしっかり持ちながら、最後も粘り強く走れました」。苦い経験をプラスに変えて、成長したことを同じ場所で証明してみせた。

走る喜びを再確認した橘山は、選手としての夢も語った。「トラックでも駅伝でも、どんどん自分の力を発揮できる選手になって、将来は世界で輝ける五輪選手になりたいと思っています」。3週間前とは違う晴れ晴れとした表情で、今後の成長を約束した。【永田淳】

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