皆さんは1日に何回洗濯機を回しているだろうか。

私は海や自然と共に競技をするトライアスロンの選手だった身として、環境問題の中でも特に「海の問題」に着目する機会が多くあった。


ニュージーランド・ニュープリモスの大会で
ニュージーランド・ニュープリモスの大会で

私は2016年から、競技中の海水の影響と思われる湿疹が体に出るようになってしまった。アレルギー検査をしても原因はわからず、おそらくプランクトンや水質汚染が原因ではないかと医師から診断された。実際、湿疹がたくさん出るのは観光地の近くの海が多かった。

そんな経緯もあって、海を守るために何が出来るかを考えるようになり、ビーチクリーン(海岸清掃)活動などを行ってきた。だがそんな行動は毎日できるわけではない。だから、生活の中でも当たり前にできることが何かないだろうかと考えていた。

食器用洗剤を変えたり、生ごみの処理の仕方を考えたりして生活してはいたが、他にも何か出来ないか…と考えていた時、「サステナブルランドリー」に出会った。

サステナブルランドリーとは、洗濯などを通して環境への負荷を少なくする活動や考え方のこと。

最近の研究で、海の生態系に影響を及ぼしているマイクロプラスチックファイバー全体の35%は、洗濯などの生活排水によるものとの発表がされた。


長野県内の湖でのスイムの様子
長野県内の湖でのスイムの様子

私は恥ずかしながら、今までスポーツウエアを洗濯するのに「海の環境」について考えたことがなかった。考えることと言えば「スポーツによる汗、汚れをきれいにすること」だけだった。毎日2回洗濯機を回すことで、洗濯による繊維が海に流れていく…という考えなど少しも頭になかった。

洗濯排水の中には色素や、海の生態系に影響を及ぼしていると問題になっているマイクロビーズ(マイクロプラスチックファイバー)が含まれている。それは海や海洋生物だけではなく、魚を食べる鳥、魚と鳥を食べる私たち人間にも影響が及んでいるのだ。そのことを知り、かなりゾッとした。

と同時に、日常生活の中で少し意識を向け、当たり前に海の環境の事を考えられる一番良い方法、それは洗濯について見直す事だと感じた。ひとりひとりの少しの意識、取り組みの改善が地球環境に貢献することにもなる。

まずは、週1回洗濯回数を減らしたり、すすぎを1回にしたり、まとめ洗いを心がける。小さな行いに見えるが、全世帯が週に1度洗濯の回数を変えるだけでも大きな変化になるのではないか。

すぐに目には見えないものだが、未来のためにも、今、この時から始めてみる事が地球環境に大切だと思う。

(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)

銚子の海
銚子の海