「食は、人を良くすると書く」。
1度はこの言葉を聞いたことがあると思う。
人は口にするものでカラダが出来ている。
以前のコラムで書かせていただいた通り、私は月経不順、無月経、PMS(月経前症候群)を経験しており、それがあだとなりけがをしたり骨密度が低下したりして苦しんだ。大きな原因は「食」であり、食事制限によってカラダとココロのバランスを崩し、自律神経が乱れたのだ。
今回は友人で農家を営む野菜のプロ、石毛麻里子さんに「食事がもたらす健康」について聞き、これからの季節にぴったりのレシピを紹介してもらった。
石毛さんは現在、千葉県銚子市で自家農園の野菜をたっぷり使った農家レストランを建設中。今年9月末に「お野菜クリニック とまりこ食堂」をオープンする予定だ。この地域では料理教室も開催し、旬の野菜を使ったレシピなども紹介している。
2020年1月から2022年3月までの2年間、間借りのカフェで週末にお店をやっていた時には何度か石毛さんの料理を食べたことがあり、私自身石毛さんのファンの1人でもある。
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加藤 石毛さんが現在の職(農家)に就いたタイミングはいつだったのですか?
石毛さん 小さい頃から自分の家の野菜が大好きでした。「うちの野菜おいしい!」と思って食べてきて、私が農園を継がなかったら、このおいしい野菜たちが食べれなくなる、途絶えさせたくない、という理由から18歳で就農しました。
加藤 食事にこだわりを持ったきっかけはあるのですか?
石毛さん 実は婦人科の疾患に悩まされたのがきっかけなんです。23歳で結婚しましたがなかなか子供に恵まれず、悩んだ末に不妊治療に通うことを決め、ホルモン剤を飲んだり、注射を打つ治療に取り組みました。
治療を始めて2年も経たない間に、子宮筋腫が9個もできてしまって…月経時の出血量も多く、貧血もあって、階段は1階分登れなくて途中の踊り場で休憩したりしていました。
このままでは治療がすすめられないと筋腫の摘出手術を受けましたが、その1年後、今度は子宮の内側に筋腫があると告げられ、2度目の手術をすることになり…他にも、卵巣のう腫や子宮内膜症も経験しました。
加藤 今、とても元気な石毛さんからは想像が出来ない過去です。
石毛さん 私自身も信じられなくて。当時、婦人科疾患のことを友人に相談したところ、自然食の料理教室を勧めてもらって行ったんです。元々主婦をしていて、お料理を作るのは好きで、市販の調味料などを使う料理もおいしいと思っていたのですが、何かが違うと疑問があって…
はじめて自然食のお料理を食べた時、カラダにすっと染み込むのがわかったんです。『これだ!』と。運命の出会いでした。これまで使っていた調味料類を全て変えて、野菜本来の味を最大限に生かした料理をするようにしました。
加藤 ここから体調に変化が?
石毛さん もうびっくりするくらいに変わりました。元々フェイスラインににきびがあって、肌荒れもひどく、何をしても治らなかったんです。にきびができる場所を調べたら、生殖器が悪いとできる場所だったんです。
あとはすぐ風邪をひく体質で免疫力が低かった。でもマクロビオテックのお料理にしてから肌もきれいになって風邪をひかなくなって、自分自身でその良さを体感できたんです。
いつからか、『自分のように悩んでいる人を食事で救いたい』という気持ちが芽生えて、2016年頃から農家レストランをやりたいと心に決めてました。
加藤 私も無月経などを経験したり自律神経が乱れたりした時期を経験して、『食事』ってとっても大切な事だと身をもって感じていましたが、石毛さんのような経験をしてきた方の農家レストランはとても説得力があると思います。
現に何度かお邪魔してお食事をいただきましたが、まずはじめに見た目が鮮やかで驚きました。そして、お野菜の本来の味はもちろん、ドレッシングも素材の味がしたり、血糖値を上げないように食前ドリンクがあったり…お料理1品1品の説明もしてくださるので意味のある食事でカラダに染み込む感じがありました!
私自身が石毛さんが作るお料理のファンなので農家レストランが待ち遠しいのですが、現在ファンの方や、これを機に知っていただく方にお伝えしたいことはありますか?
石毛さん 実際に間借りのカフェを営業している時に、冷え性や未病などの不調で悩むお客さんたちの声を多く聞きました。
今回、農家レストランを開店しますが、私の目標は農家レストランをひらくことではないのです。私の作る料理がきっかけになり、食べものについて知ってもらい、食べることの大切さに気付くことで、健康な毎日を送って欲しいという気持ちが一番!
なので、私のご飯を食べてくれた人が作り方を聞いてくれて、さらに家で作ってくれる。その家族が幸せになる。その輪が広まって、銚子全体が健康で幸せになる。願わくば、それが日本、世界…と
食べものでからだはつくられています。さらに食べものはカラダだけじゃなく、ココロもつくります。おいしく食べて幸せになれるなんて最高!という発想を銚子の街から広げていきたいですね。
なので、自分自身に悩みのある方や家族に悩みがある方など、気軽に相談してほしいのです。レストランなのですが、クリニックのような、そんな場所になれたら良いな。
加藤 すてきな発想です。私はアスリートで特に夏場は内臓に負担がかかるとパフォーマンス低下の原因となってしまいます。アスリートのみならず、これから夏にかけて元気になるようなレシピはありますか?
石毛さん もちろん! ご紹介しますね。私がご紹介するレシピは、その時期に採れる旬の野菜で野菜本来の味を生かしたレシピになります。ぜひご家庭で試してください。
カラダもココロも健康に、幸せになりますように!
◆レシピ◆
・夏野菜のマリネ
★ポイント
・野菜を焼くときは、あまり動かしすぎないのがポイントです。
・お好みでハーブを加えてもOK
★材料(3~4人前)
・トマト 1個
・ズッキーニ 小1本
・コリンキー 小1/2個(100g)
・赤パプリカ 1個
・ナス 1個
・オリーブオイル 大さじ2
・●酢 100ml
・●砂糖 大さじ1~
・●塩 小さじ1/2
★作り方
(1)トマトはひと口大、ズッキーニは3~4mmの輪切り、コリンキーは3~4mmのイチョウ切り、赤パプリカ、ナスはひと口大に切る。
(2)●を合わせてマリネ液を作り、容器に入れておく。
(3)フライパンにオリーブオイルをひき、トマト以外を並べ、両面に焦げ目が少しつくくらいまで、じっくりと焼く。
(4)(2)の中に、焼けた(3)、トマトを入れて浸す。
(5)粗熱が取れたら、冷蔵庫で30分~1時間ほど冷やす。