<高校ラグビー:大阪桐蔭29-15青森北>◇28日◇1回戦◇花園

 大阪桐蔭(大阪第3)が青森北(青森)をシーソーゲームの末、逆転で破り、花園出場7大会連続の初戦突破を決めた。甲子園春夏連覇のエース、阪神ドラフト1位藤浪晋太郎の同級生、フランカー中川竜斗、プロップ谷峻輔(ともに3年)らが勝負どころでトライを決めた。硬式野球部との“アベック全国制覇”へ、第1歩を踏み出した。2回戦は明日30日に行われ、4連覇を狙う東福岡などシード校が登場する。

 窮地を救ったのは、やはり3年だった。7-0から、雨にぬれたボールにミスを連発…。7-15の後半12分、ロック沖原が反撃のトライを決めて、3点差。今度は副将のフランカー中川が走った。敵ゴール前左中間15メートルのラック。青森北がタッチキックを狙って後方に出したパスが乱れる。殺到する仲間とともにインゴールでボールを抑え、逆転トライだ。残り2分には、途中出場のプロップ谷がラックサイドをつき、決定的なトライを奪った。

 出場7大会連続の初戦突破を決めた。綾部正史監督(37)は「雨やからパスが放れんようじゃ、目指す展開ラグビーはできません」とこぼしつつ、勝ちきった点は満足そうだ。「大きかった。ああいうことは起きる。すごくよかった」と敵のミスを突いた中川ら、正念場で集中力を発揮した選手をほめた。

 3年部員は、甲子園春夏連覇した野球部の3年部員と3年間、同じクラスで過ごした。SH圷(あくつ)主将は前夜、藤浪から「アベック優勝しようや」と激励メールを受けた。「12月に入って、あいつも阪神の仕事で忙しいんか、全然顔を合わせてないんですけど。久々のメールでした」とうれしそうだ。

 谷は夏過ぎ、藤浪と部活用のTシャツを交換した。きっちりサイン入りだ。「着てません。タンスにしまってます」。トライを決めた今では“縁起物”だ。

 夏の甲子園決勝は応援に行った。逆に今大会の大阪予選決勝は応援に来てくれた。同じ大阪桐蔭の体育会系として、負けてはいられない。中川は「野球部とはほんまに仲いいですよ。でも、やっぱり悔しいし」という。目標は最低ベスト8。過去6回の出場で3回戦敗退5回の歴史をまずは塗り替える。そして…。明日30日の2回戦はBシード国学院久我山(東京第1)だが、決意は少しも揺るがない。【加藤裕一】