大学選手権6連覇中の王者・帝京大が敵地で早大に快勝した。

 ラグビー王国ニュージーランドの先住民族・マオリの血を引く新入生で、3カ月前まで大工だった異色のNO8ブロディ・マクカラン(1年)が、大学初トライを含む2トライでチームの勝利に貢献した。入部からわずか2カ月ほどだが、すでに岩出雅之監督から「めちゃくちゃいいね。頭もハートもいい。もっと体を鍛えれば。主将を任せられるかもしれない」と絶賛される。この日も献身的に体を張り続け、早大の守備をこじ開けた。

 スコットランド人で元ラグビー選手の父、マオリの母を持つ。2年前にニュージーランドのハミルトンボーイズ高を卒業してからは、ハミルトンで大工仕事をしながらクラブチームでプレーしていた。中学校の校舎を建てる現場で働いていたと話し「大きな材木を肩にかついで歩いていたよ。大変だった」と冗談っぽく笑う。そんな中、週末に参加していたクラブチームでのプレーが帝京大でスポットコーチを務めるスミス・コーチの目にとまったことが入学のきっかけだった。現在は寮で生活している。「毎食お米が出ることにびっくりしたけど、今は慣れました。日本語は難しいです」と初々しく笑った。

 左の胸から背中にかけて、大きなタトゥーが入っている。胸は家族、背中はマオリ伝統のものだという。世界最強のニュージーランド代表「オールブラックス」にも憧れはあったが、「日本ラグビーは将来必ず発展する。その一員になりたい」と日本を選んだ。「国籍もとりたいと思う。日本代表になりたい。チャンスがあれば7人制で五輪にも挑戦したい」とかける思いの強さを見せた。

 同じニュージーランド出身のフランカー・イラウアとコンビを組み、片言の関西弁でショートコントを披露したこともある。同級生のWTB竹山も「スマートな性格」と褒めるナイスガイだ。岩出監督が「フランカーで日本代表になれる」と期待する金の卵が、帝京大で伸び伸びとスタートを切った。