ラグビーW杯イングランド大会が18日に開幕した。歴代日本代表において「史上最強」といわれるエディージャパンは、91年以来24年ぶりの勝利に終わらず、8強進出を目指す。躍進のカギを握る日本の武器を、5回に分けて紹介する。第4回はCTB、WTB、FBの3ポジションをこなす松島幸太朗(22=サントリー)。全身をバネのように使い、瞬時にして最高速に入る。スピードを保ったまま、横にもステップが切れるのが特長だ。「ある程度相手の動きも見て予測するけど、疲れれば疲れるほど体が勝手に反応する」。守備の穴を見つけて突破する力は天性のセンスでもあるが、昨季は世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」に挑戦し、その武器に磨きをかけた。

 所属したワラタス(オーストラリア)は、移籍する前年にリーグ制覇した強豪チーム。今大会も優勝候補のオーストラリア代表「ワラビーズ」の選手が数多くいた。中でも松島は、ワラビーズのスターであり同じCTBのアシュリークーパーの名をよく口にする。練習ではできるだけペアを組み、目の前でプレーを見た。「走るコースとか、参考になることが多かった」。練習後も毎日アシュリークーパーのもとへ通い、考えを聞いた。

 南アフリカ同様に大型選手が集まるワラタスで、手応えもつかんだ。「少し相手のタックルをずらせればいけるなと。抜ける自信はある」。8月29日のウルグアイ戦(東京・秩父宮)で、WTB藤田のトライを演出した。中央右から、相手守備2人の隙間を流れるようなステップですり抜けた。「アシュリークーパーがやっているのを見て、実践したりしている」。さながらの足さばきは、公式戦でも十分に通用した。

 あとは本番で発揮するのみ。初戦は、自身のルーツを持つ南アフリカが相手だ。「状況を見て、スペースを狙いたい」と意識は変わらない。突破役にもフィニッシャーにもなれるフットワークで、世界を驚かせる時が近づいている。【岡崎悠利】

 ◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日生まれ。父がジンバブエ人で、南アフリカ・プレトリア出身。ポジションは主にCTB、FB。6歳の時、南アでラグビーを始める。神奈川・桐蔭学園高2年で花園準優勝。卒業後は南アのシャークスの育成組織で2年間プレーし、現在サントリー所属。175センチ、88キロ。代表キャップ数は12。