女子の開志国際(新潟)は鹿児島女に45点差で大勝した。ゲーム開始から6分すぎまで、相手を無得点に抑えて得点を重ねた。右足首の疲労骨折に見舞われていたSG中島彩衣(2年)は3点シュート5本を含む21得点で爆発。故障前のPGから、転向してコートで躍動した。今日24日の2回戦は足羽(福井)と対戦する。

 ゲームメークという束縛から解き放たれて攻撃に専念した中島が、コートで爆発した。得意な3点シュートを5本リングに放り込み、全国舞台で持ち味を披露した。第4Qはベンチを温め続けながらも、21得点を重ねた。「中島の得点力を生かした。思った通りに、ピタリはまった」と伊藤翔太監督(27)がいうPGからSGへのポジション変更。まさに「けがの功名」だった。

 中島は11月初めに右足首の内側を疲労骨折している。「ケガを責めた。自分を責めた」と落ち込んだが、本番の約2週間前に復帰を果たした。「ケガ明けで動けない」と指揮官は急きょ、船生晴香(2年)をPGに抜てき。中島は正位置を奪われた形になったが、意に介さなかった。「チームのために何かできる、というのがうれしい。ポジションは違っても、チームに貢献できることがうれしい」。昨年のウインター杯まではSGだっただけに、慣れ親しんだポジションだった。

 患部の痛みは、まだ少し残っている。しかし、ゲーム中は忘れた。「気を抜くと痛いけれど、試合中はアドレナリンが出ているから」と言って笑った。生まれはさいたま市ながら、中学は愛知県の若水中。そして、高校は開志国際入学と、よりよい環境を求めてバスケットに取り組んできた。12歳から実家を離れているだけに、気丈さは人一倍だ。「けがを乗り越えて、今ここに立てていることが、うれしい。次も誇りを持って戦いたい」。2回戦の相手は過去3戦未勝利の相手だが、中島の表情は自信に満ちあふれていた。【涌井幹雄】