女子決勝は岐阜女が桜花学園(愛知)に逆転勝ちし、初優勝を果たした。今大会で岐阜県勢の優勝は男女を通じて初めて。総体、国体と決勝で辛酸をなめた相手に三度目の正直で雪辱。3年連続3冠を阻止した。 総体、国体での悔し涙は、歓喜の涙に変わった。46-47と1点差まで追い上げて迎えた第4クオーター(Q)残り1分44秒、田中陽子(3年)のこの日3本目の3点シュートで初めてリードを奪った。第2Q終了時点で12-24まで引き離されながら、諦めず逆転。村瀬久美主将(3年)は試合後「めっちゃうれしいです!」と喜びを爆発させた。

 試合前夜、全員で国体決勝のラスト5分の映像を見た。「あの悔しさを忘れるな」。安江満夫コーチはそう言って選手を送り出した。村瀬は「このチームで最後の試合。気持ちで負けないようみんなで声を掛け続けた」。逆転後のダメ押し点を自ら決めてみせた。

 安江コーチが77年に部を立ち上げてから、今年で39年目。わずか数人の部員で初めは体育館を使わせてもらえず、雨の日は校舎の廊下で練習した。ユニホームもなく、初めての練習試合では、安江コーチがデパートで購入したランニングシャツにマジックで校名を書いた。総体初出場は12年後。少しずつ、前に進んできた。安江コーチは「諦めないで挑んできて良かった」と笑顔で遠くを見つめた。

 次は連覇を目指すことになった。ただ、指揮官にその意識はない。「またゼロから出発するつもり。次はどう勝つか、これから考えます」と、うれしそうに話した。【岡崎悠利】