11月4日に世界ランキング3位オーストラリアとの対戦を控える同11位の日本が、世界選抜との強化試合に27-47で敗れた。新システムを取り入れたばかりの防御は7トライを許すなど課題を残したが、攻撃では右膝の大けがから1年ぶりに代表復帰したWTBレメキ・ロマノ・ラヴァ(28=ホンダ)が存在感を発揮。トライこそ奪えなかったものの、再三の突破でチームをけん引した。タレントがそろうBK陣に、強力な個性が加わった。

 身長177センチ、体重92キロの力感にあふれた体を生かし、レメキが何度も体格で上回る相手を吹き飛ばした。雨で芝がぬかるみ、両軍ともミスが多い展開も、持ち味の走力で攻撃をけん引。試合終了間際には4人を突き飛ばしながら右タッチ際を走り抜け、ロック・ヘルのトライを演出した。

 昨年11月のジョージア戦で右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負い、1年ぶりに戻ってきた代表戦。チームは敗れたが、縦横無尽にピッチを駆け回り、「前に出るのが自分の強み。トライが取れていないから、まだ70点。アピール? まあまあかな」と陽気に振り返った。

 長く7人制日本代表のエースとして活躍し、4強入りした16年リオデジャネイロ五輪後から19年W杯を目指して15人制に専念。昨年11月のジョセフ体制初戦で代表デビューを果たしたが、続く試合で負傷し、戦線離脱を余儀なくされた。手術後、半年に及んだリハビリ生活では肉体強化に着手。ベンチプレスで150キロを上げ、直前合宿の体力テストでもチームトップの記録をマークするなど、強く、走れる体を作り上げた。

 WTBは経験豊富な山田、圧倒的なスピードを誇る福岡らライバルが多いが、「フィジカルでは負けない」と定位置取りにも闘志を燃やす。敵として戦った五郎丸も「良い状態でパスを回せば、今後の日本代表の武器になる」と太鼓判を押した。11月は3試合の重要なテストマッチが続く。「全部出たい。全部でトライを取りにいくよ!」。日本に、頼りになる男が帰ってきた。【奥山将志】

 ◆レメキ・ロマノ・ラヴァ 1989年1月20日、ニュージーランド生まれ。高校卒業後の09年にキヤノンに加入。14年、ホンダへ加入し、日本国籍を取得。16年11月のアルゼンチン戦で代表初キャップ。ポジションはWTBとFB。家族構成は妻と2男。愛称はマノ。177センチ、92キロ。

 ▼ロック姫野和樹の話 とにかく緊張した。考えることが多くて余裕がなかった。ボールタッチを増やして、タックルももっと強く当たらないといけない。課題が明確になった。

 ▼プロップ稲垣啓太の話 新ディフェンスの可能性を感じられたが、やりきるためにも個人のフィットネスとテクニックを上げる必要がある。