2018年F1世界選手権の開幕前バルセロナ合同テストにおいて、トロロッソ・ホンダは初日から2日連続でノートラブルで順調に周回を重ねている。ホンダの現場運営を統括する田辺豊治テクニカルディレクターは、「距離を稼いでキャリブレーションと信頼性を確認するというのが車体側にとっても我々パワーユニット側にとっても最も重要なことだと考えていましたし、その点には満足しています」と語った。

 テストは始まったばかりで、まだ性能を追求するよりも初期確認の段階。余りの寒さのためタイヤがグリップせず本格的な走行がほとんどできない状況だが、その中でも優先度の高いものから進めているという。

 「まだまだクルマやパワーユニットを知るための学習の段階です。セッティングを大きめに振ってそれに対する反応を見てクルマやパワーユニットの特性を掴んだ上で、これから一番良いところに絞り込んでいく最適化をしていきます」

 昨年は信頼性に苦労したが、問題が多発したMGU-H(熱エネルギー回生システム)などの設計を見直したことでトラブルがぱたりと止まった。その結果、2日間でトラブルはひとつもなく走行を重ねている。

 ただし信頼性を担保するために性能面を大きく落として走行しているわけではないという。

 「まずは信頼性を開発のキーポイントだと捉えて進めていますし去年の反省を踏まえて開発していますから、最初から壊れるようなことなく距離を稼いで問題点を見付け出すというのがテストでの目的になります。出力は信頼性を確保するために極端に抑えるということはしていなくて、予選モードはまだ使っていませんが、マシン性能の評価をするためにも実戦を想定したレベルのプラクティスやレースモードで走行しています」

 初回テストは3日目が雪。最終日も寒く雨の予報で本格的な走行は難しそうだが、3月6日から4日間の第2回テストには開幕戦に向けたアップデートも投入して最終的な仕上げを行なう予定だ。(米家峰起通信員)