イタリア戦のポイントは3つ-。サントリー監督の沢木敬介氏(43)が、明日9日に日本代表と対戦(大銀ド)するイタリア代表を徹底分析。今年の欧州6カ国対抗のデータから、日本勝利のカギに(1)ラインアウトの守り(2)22メートルライン内への進入を許さない(3)ラスト20分で勝ちきる、の3点を挙げた。来年のワールドカップへ、半年ぶりのテストマッチに勝つ重要性を強調した。【取材=荻島弘一】

     ◇        ◇

 イタリアは勝たなければいけない相手。特に、9日の初戦は重要になる。来年のW杯のためにも、ここはしっかり勝つこと。勝てる相手でもある。とはいえ、イタリアは決して弱くはない。6カ国対抗は全敗の最下位だったが、内容的にはいい面もあった。昨年からアイルランド人の(オシェイ)監督に率いられ、ボールを動かすスタイルへと変わった。そんな相手に勝つためのカギは3つある。

 (1)ラインアウトからのトライを許すな! 6カ国対抗で記録したトライの起点は、ラインアウトが58・3%。7割近いスコットランド同様、ラインアウトからのアタックに自信を持っている。ここを守れるかは勝利へのカギになる。ラインアウトを増やさないゲームプランも必要。キックリターンからのトライも多い相手だから、不用意なキックを控えることも必要だ。

 (2)22メートルラインを突破されるな! イタリアは敵陣深く進入しないとスコアできないチーム。全得点のうち50%以上が22メートルラインの内側から生まれている。日本にとっては戦いやすいし、どこでボールを奪うかという戦術も立てやすい。ある程度ボールを持たれても、22メートルラインは突破させないこと。そのために、どうやってゲームコントロールするか。アイルランドも半数以上のトライが22メートルライン突破から。簡単に進入を許せば、大量失点もある。

 (3)ラスト20分で突き放せ! 6カ国対抗のスコットランド戦は後半20分まで24-17で勝っていながら、残り20分で逆転負けしている。フィットネスレベルが高くないから、終盤の失点が多い。6カ国対抗では、ラスト20分の失点が79とダントツに多かった。ここは、日本が絶対に負けてはいけない部分。後半途中まで競っていけば、最後は必ず突き放せる。暑さも、日本にとってアドバンテージになるはずだ。

 最大の目標となるW杯まで1年と少し。チーム作りの過程では調子の波もあるし、負け試合が必要になる時もある。ただ、今の日本にとって必要なのは勝利。勝って自信をつけなければならない。秋のこと(ニュージーランド戦、イングランド戦)を考える前に、まずイタリアとジョージアにしっかり勝つ。それが、来年のW杯につながる。

 ◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付高-日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍した。06年から6年間、サントリーでコーチを務め、13年にU-20日本代表監督に就任。15年W杯ではコーチとして南アフリカ戦勝利に貢献した。サントリー監督に就任した16年からトップリーグ、日本選手権を連覇している。