女子50キロ級で昨年の世界選手権48キロ級金メダルの須崎優衣(19=早大)が、ライバルの入江ゆき(自衛隊)を6-4の大逆転で破り、2度目の世界選手権代表の座を手にした。3-4の劣勢からラスト11秒で鋭いタックルから活路を見いだし勝利した。フリースタイル男子70キロ級は乙黒圭祐(21)、同65キロ級は弟の拓斗(19=ともに山梨学院大)が勝ち、兄弟アベックで出場権をつかんだ。

 須崎は勝利のブザーが鳴ると両手を突き上げた。第2ピリオドのラスト11秒。3-4から相手が足をとりにきたところをかわしてタックルに入った。そのまま投げて相手を背中からマットにたたきつけ、大逆転で日本が誇る伝統の最軽量級を制圧し、世界切符を手にした。「絶対、代表を取る気持ちだった。練習でラスト30秒とかシチュエーションを想定してやっている。最後はここからが自分の勝負だと思った」と笑った。

 今回、代表選考プレーオフが女子で初導入された背景には、伊調馨(ALSOK)へのパワーハラスメントが認定された一連の問題で、第三者機関による調査で選考が不透明と指摘されたことがある。日本選手権、全日本選抜の優勝者が異なる場合、強化委員会に一任されてきた従来の方法を改善、明確化して実施された。須崎は「納得できる選考?」と報道陣に問われ「はい」と即答。世界連覇へすっきりした気持ちで向かう。