世界19位の錦織圭(28=日清食品)が、2年ぶりの出場を快勝で飾った。同50位のマルテラー(ドイツ)に、1度も自分のサービスゲームを落とさず、6-2、6-2、6-3のストレート勝ち。次戦は元6位で同39位のモンフィス(フランス)と対戦する。

<堀内昌一氏の分析>

錦織の予想以上の快勝だった。新鋭マルテラーの機先を制するように積極的に試合をスタートし、相手コートに鋭く、深く突き刺さるショットで連続ブレーク。第1セットを4-0としたところで勝負は決まった。

リターンの読みも素晴らしかったが、それ以上に目を見張ったのがストロークだ。いつもの前陣速攻。錦織は前に出てボールの浮き上がりをたたき、マルテラーをコートの奥深くに追いやった。そこで時間的余裕が生まれる。次の返球に対して早めに構え、視線を一瞬ボールから離して相手に送る。この目の動きがフェイントになり、さらに厳しいショットにつながった。両者の決定打と凡ミスの大きな差はここから生まれた。

もう少し競ると思ったが、錦織は完全に自分の得意とする速い展開に引きずり込んだ。前哨戦は不調だったが、試合数が少なかった分、体力的にも余裕があるのだろう。この日の戦いから調整がうまくいったことも明らか。次のモンフィス戦も期待できそうだ。

(亜大教授、テニス部総監督)