男子500メートルで新浜立也(22=高崎健康福祉大、別海町出身)がW杯初優勝を飾った。35秒45で、同走で6位に終わった世界記録保持者バベル・クリズニコフ(ロシア)らの強敵を抑えた。日本男子のW杯個人種目優勝は13年12月に500メートルを制した長島圭一郎以来となった。2位には村上右磨(ゆうま、25=村上電気、帯広市出身)が入った。

寒さに負けず、メダリストにも負けなかった。22歳の新浜がW杯同種目3戦目で初優勝。表彰式ではスピードスケート界のレジェンドで日本連盟の橋本聖子会長(54)と歓喜のハイタッチを交わした。「正直こんなに早いとは思ってなかった」。平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)の金銀銅メダリスト3人を抑えての勝利に本人も驚きを隠せなかった。

最後から3番目の8組でスタートラインに立った。最初の100メートルを9秒82で通過し「スタートからしっかりリードできたことが良かった」と振り返る。帯広大会(16~18日)の500メートルで2位、優勝と好調のクリズニコフを上回り勢いに乗った。ダイナミックなフォームで駆け抜け、35秒45をマーク。リンクで最終組を見届け、順位を確認すると右腕で小さくガッツポーズした。「タイムはまずまず。抜かれるか不安だったけどうれしかったですね」と胸の内を明かした。

今季開幕戦の帯広大会でW杯デビューした。1回目はアウトコーススタートで3位。2回目はインコース同で7位だった。この日、再びインコース同に臨み「前回は最初の100メートルでミスがあり、第1コーナーで加速できなかった」と反省点をしっかり修正した。さらに今大会は11季ぶりの屋外開催。レース中の気温は氷点下1度。吐く息は白かった。中学まで育った故郷・別海は氷点下になり散水して作られる天然リンク。その環境で3歳から滑って育っただけに「気にならなかったですね。氷も硬い方が好き」と平然だった。

平昌五輪でメダル6個と活躍した女子に対して男子はゼロ。「こっちも盛り上げたい」という思いで、夏場はコーチ陣が課す陸トレに意欲的に取り組んだ。「まだまだ試合は続く。油断しないで上位を狙いたい」。183センチと大柄の体格で男子スケート界を引っ張っていく。【西塚祐司】