【ブダペスト29日=三須一紀】卓球世界選手権個人戦の男子シングルスで4回戦敗退となった張本智和(15=木下グループ)が29日までに記者団の取材に応じた。シングルスの世界ランキング4位のため4強シードとして、準決勝まで中国選手に当たらないブロックに入り、同種目40年ぶりのメダルが期待されたが、届かなかった。

同157位の安宰賢(19=韓国)に敗れ、試合翌日まで悔しさを拭えなかった。2日後にやっと「ふつうの157位ではなくベスト4に入る選手だったんだなと思い、切り替えるようにした」と語った。

とはいえ同年代、格下の選手に向かっていけない精神面の弱点が見つかった。格上選手であれば、向かっていけるが、同年代、格下選手だと「自分を解放して卓球が出来ない」と話した。今年1月、シングルス連覇が懸かった全日本選手権の時からそうだという。

来年は東京オリンピック(五輪)。その課題について「オリンピックはさらに1勝ごとに緊張感が高まっていく。同じ過ちを繰り返さないよう、この経験を生かしたい」と語った。体操の内村航平、フィギュアスケートの羽生結弦と五輪連覇を果たした選手の名を挙げ「期待が懸かる中で金を取っている。気持ちの強さを見習いたい」と話した。

今大会前、右手薬指のけんしょう炎となり、十分な練習時間が取れなかったことも敗因の1つ。「3回戦のフレイタス戦から少し疲れが出てきた」と語り、ケガがなければ全3種目に出場していたことを踏まえ「簡単に3種目、3種目と言ってはダメだなと思いました」と笑った。「心が一番疲れた」とも言った。

今後、戦術の幅、選択肢を増やすことにも言及した。現在はバックハンドが強い武器だが、フォアハンドや台上技術も強化する。16年リオデジャネイロ五輪の男子シングルス金、今大会も優勝した馬竜(中国)の名を挙げ「サーブ、ラリーなどコピーじゃないけど、全て馬竜のようになりたい。今まで人のマネはしてこなかったけど、これからは馬竜の映像を見て学びたい」と語った。

東京五輪での金メダル獲得を目標と公言してきたが、今回の敗戦を通じて「全てうまくいくわけではない。焦らず、2020年以降も僕にとってのオリンピックはある」と、東京大会に固執しすぎない考え方に変わっていた。母からも「今までうまくいき過ぎていた」と言われ、自分にプレッシャーをかけ過ぎないためにも、そう言った。

明日1日からの新元号令和への期待を聞かれ「卓球が野球やサッカーのように注目されるスポーツになってほしい。ワールドツアーがテレビ放送され、2020年以降は、日本卓球界と言えば張本と言われるようにしたい」と語った。