日本男子のエース、堀米雄斗(20=XFLAG)が復活の優勝を果たした。昨季SLS3勝と活躍しながら今季は決勝進出を逃していた堀米は、一発の大技を競うベストトリックで9・4点をメーク。合計35・7点で東京オリンピック(五輪)金メダル候補の実力を見せた。白井空良(17)は6位、池田大亮(18)は準決勝で敗退した。

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ベストトリック4本目、狙ったのは中央の最も高さのあるセクションだった。前足で先端を踏み込みボードを浮かすと、そのまま4分の3回転。ノーズ(先端部分)で手すりを滑り、4分の1回転して着地した。「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」。大会で初めて決めて、胸の前で両こぶしを握りしめた。

昨季は世界最高峰のSLSで4戦中3勝した。しかし、五輪予選対象となった今季は5月の開幕ロンドン大会で準決勝敗退。昨季優勝した6月のデューツアーでも決勝進出を逃し「思った以上に、みんな強くなっている」と話していた。

それでも、焦りはなかった。難度を落として確実に得点を狙えば決勝に残ることは難しくないが「それはしたくない。五輪予選といっても、いつもの大会と同じ。順位よりも、人がやらないトリックをしたい」と話していた。白井の急成長にも「空良と一緒にできてうれしい」と喜んだ。

結果が出ない時も日本代表の早川コーチは「内容は決して悪くない。雄斗の強さは変わらない」と信頼を口にしていた。出場だけを目標に五輪ポイントを稼ぐのではなく、さらに上を目指して技を磨く。五輪出場は決してゴールではない。

大技を決めて5位から首位に浮上し「ホッとした」と明かした。「ナイン・クラブ」と呼ばれる9点台を3本出しての快勝にも「もっとできた。もっと成長したい」と話した。「出られたらメダルを狙う」と話したが、さらなる高みを目指す堀米にとって東京五輪は通過点でしかない。

◆東京五輪への道 ストリート、パークともに出場選手数は男女各20。今年10月以降に行われる世界選手権各3位までとワールドスケート(WS)の五輪ランキング上位選手に1カ国最大3人の出場権が与えられる。五輪ランクはWSが設定する予選大会での獲得ポイントによる。19年シーズンは9月末までで、ストリートは全5試合。残る2戦は9月の国際オープン(中国)とSLS最終戦を兼ねて行われる世界選手権(メキシコ市)。今年10月以降の20年シーズンとの合計で五輪ランクが決まる。