「築館のいだてん」が東京オリンピック(五輪)を視野に入れた。8月の全国高校総体陸上で100メートルと200メートルを制した築館・鵜沢飛羽(とわ、2年)が12日、同じく同総体バドミントン男子団体初Vに輝いた聖ウルスラ学院英智のメンバーとともに宮城県庁を訪れ、優勝報告した。今後のプランとして「(参加資格の)タイムを突破して来年の日本選手権に出たい」とし、「五輪を狙えるとしたら200メートル、かな。200の方が得意なので」と高校生での五輪出場に意欲をみせた。

鵜沢も一瞬、苦笑いした「五輪宣言」が2人隣から飛び出した。報告会に同席した三浦孝洋校長が「東京オリンピックに出場したいという希望を持っている。かなり難しいけど、その可能性にチャレンジしたいと言っております」とあいさつで明かし、鵜沢もその気になった。

まずは日本選手権への出場が第1目標。来年の参加資格は決まってないが、今年は100メートルが10秒40、200メートルは20秒80が参加標準記録A。鵜沢の自己ベストは100メートルが10秒45、200メートルが20秒94。高校総体は100メートルが10秒19、200メートルは20秒36で優勝も、ともに追い風参考記録だった。今季出場予定は10月上旬の茨城国体と、同18日からユース世代対象の競技会(広島)のみ。得意の200メートルは後者しかなく、「挑戦です。上の方で戦ってみたい」とU-18ではなく、「飛び級」のU-20でエントリーした。

あこがれの選手との対面も、世界への意識を強くした。8月31日、富士北麓ワールドトライアル(山梨)の前日練習後、リオ五輪男子400メートル銀メダリストの飯塚翔太(28)に駆け寄り、シューズ袋にサインをもらった。「明日(9月1日)は文化祭だけど、来て良かったです」と感激の面持ちで、熱い握手を交わした。

記念盾をもらい、報告会を終えた鵜沢は「風はマイナス(向かい風)でいい。広島で金メダルです」。今季最終レースで大学勢も蹴散らし、「世界のいだてん」への第1歩を踏み出す。【中島正好】