八村塁(21)の所属するNBAウィザーズのジム・バン・ストーンCCO兼ビジネス運営部門代表が19日、来年東京オリンピック(五輪)以降に日本で凱旋試合を行うことを明言した。この日、来日中のラウル・フェルナンデス副会長とともに、都内で日刊スポーツのインタビューに応じ、八村の実力を認めた上で「ぜひ実現させたい」と日本開催を約束した。仮にNBA公式戦が日本で行われるとなれば、03年以来となる。

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来年の東京五輪が終わっても、世界的なスポーツの熱狂は続く。日本人で史上初めてNBAドラフト1巡目指名されたウィザーズの8番八村の豪快なダンクシュートが国内で見られる。

ストーンCCO ルイがNBAのアンバサダー(大使)になることが大切。東京五輪後に日本で試合をやりたい。ぜひ実現させたいと思っている。

ウィザーズは、今年1月にはニックスと英ロンドンで公式戦を行った実績がある。

フェルナンデス副会長 NBAを発展させていくことに、我々は協力を惜しまない。ロンドンで試合を行ったことは、英国のファンだけでなく、選手や我々にとっても素晴らしい経験となった。だからこそ、近いうちに日本でも試合を開催したい。

10月のラプターズ-ロケッツ(さいたまスーパーアリーナ)はプレシーズンマッチとして実施された。NBA公式戦が国内で開催されれば03年のスーパーソニックス(現サンダー)-クリッパーズ(同)以来となる。

フェルナンデス副会長 (公式戦とプレシーズンマッチの)どちらの可能性もある。どちらになるかはNBAの判断になる。

ウィザーズ幹部の来日は、1カ月半前に続き2度目。八村入団に伴い、日本語公式ツイッターアカウントと、日本語公式サイトを開設。日本のファンに直接情報を発信し続けている。日本語ツイッターアカウントは、開設から約1カ月ですでに約3万人がフォロー。日本からの動画視聴は約620万回に及ぶという。

フェルナンデス副会長 日本のファンがルイのルーキーイヤーに興味を持ってもらっていることは光栄。だからこそ、日本のウィザーズファンとのつながりを重視したい。

ストーンCCO 日本語と英語が堪能な特派員と契約し、日本への独自コンテンツを作成している。それらが日本人にとって有意義なコンテンツかどうか、今回は直接確認しに来た。

組織として、八村加入によるメリットを、コート内外で感じている。

ストーンCCO 多くの日本人ファンが(ホームでワシントンにある)キャピタルワン・アリーナを訪れてくれている。ホーム開幕戦では約3000人の日本人ファンが来場。私たちとしては、日本人のホームアリーナにしたい。ルイのような日本の先駆者がウィザーズに所属していることはうれしいこと。日本では野球人気が高いことは分かっているが、バスケットボールの人気も高めたい。まだまだのびしろがあると思っている。

NBAのアダム・シルバー・コミッショナーも、ウィザーズの日本遠征に前向きな考えを持つ。ウィザーズにはまだ正式な打診はないものの、NBAトップの姿勢も追い風になる。ウィザーズ幹部の2人からは、日本マーケット拡大につながる八村がい旋試合開催の意欲に満ちあふれていた。【奥岡幹浩】

◆日本で開催されたNBAの試合 今年10月のラプターズ-ロケッツを含め7試合。プレシーズンマッチだった今年以外はすべて公式戦だった。初開催は90年のサンズ-ジャズ。東京体育館で開幕戦を含む2試合が行われた。92年にはスーパーソニックス-ロケッツ、94年にはトレールブレイザーズ-クリッパーズがいずれも横浜アリーナで対戦。96年にはマジック-ネッツが、東京ドームに約3万8000人の観衆を集めた。99年にもキングス-ティンバーウルブズが東京ドームで熱戦を展開。03年にはさいたまスーパーアリーナでスーパーソニックス-クリッパーズが行われている。

◆ワシントン・ウィザーズ 61年にシカゴ・パッカーズとして誕生。63年にボルティモアに移りブレッツと改称。73年にワシントン移転。97年ウィザーズに。東カンファレンス南東部地区に所属。優勝1度、地区優勝8度。16-17年シーズンでは78-79年シーズン以来の地区優勝を達成。過去にはマイケル・ジョーダンもプレーした。本拠地はキャピタルワン・アリーナ。八村は今年6月のドラフト会議にて1巡目全体9位で日本人として初めて指名された。開幕戦から全試合で先発出場中。1試合最多は23得点、平均13・1得点。(19日現在)