柔道男子代表の井上康生監督(41)が3日、20年のテーマを「攻め」と掲げた。米・ハワイでの男子強化合宿を行うため選手らともに成田空港を出発。新年の仕事始めを迎え、「今年のテーマは『攻め』しかない。全ては東京五輪のために準備してきた。攻めの気持ちを忘れずに、最後に大輪の花を咲かせたい」と抱負を語った。

柔道は練習環境が整った国内での強化合宿が多く、新年の海外合宿は極めて異例だ。他競技と同様に温暖な気候で体作りを目的とする。さらに、ハワイは04年アテネ五輪前に女子代表が強化合宿を敢行し、五輪で金メダル5個を獲得した縁起の良い土地でもある。運も味方にしながら、「集中とリラックス」を意識しつつ、強化を進める狙いもある。

井上監督は、19年ラグビーW杯日本大会での日本代表のチーム力に感銘を受けた。昨年12月の都内での強化合宿では、東海大の後輩のリーチ・マイケル主将(31=東芝)に講演を依頼。自国開催の大舞台に臨む心構えなどを説いてもらった。日本代表としての志しやW杯への準備などを聞き、「チーム力の大切さ」と「メリハリ」を再確認した。

7カ月後の東京五輪では個人戦だけでなく、男女混合団体戦も初めて実施される。個人の五輪代表権を巡り、激しい争いが続く中、「代表=チーム」としての位置づけもあると強調する。ハワイ合宿では、トレーニングや稽古だけでなく、柔道では珍しい選手だけのBBQやチームビルディングなども実施予定という。「(ハワイ合宿に参加した)このチームは、ほぼ五輪代表と補欠メンバーであり、7月の戦いまで一緒にいることになる。そういう面も持ちながら強化を進めていきたい」。

ライバルでありながら仲間でもある。4年に1度の大舞台に向け、柔道でも「ONE TEAM」が求められているのかもしれない。

 

以下、ハワイ合宿参加メンバー

▽60キロ級 高藤直寿(パーク24)永山竜樹(了徳寺大職)

▽66キロ級 丸山城志郎(ミキハウス)阿部一二三(日体大)

▽73キロ級 大野将平(旭化成)橋本壮市、海老沼匡(ともにパーク24)

▽81キロ級 永瀬貴規(旭化成)藤原崇太郎(日体大)

▽90キロ 向翔一郎(ALSOK)長沢憲大(パーク24)村尾三四郎(東海大)

▽100キロ級 ウルフ・アロン(了徳寺大職)羽賀龍之介(旭化成)飯田健太郎(国士舘大)

▽100キロ超級 原沢久喜(百五銀行)影浦心(日本中央競馬会)