昨夏のバドミントン世界選手権混合ダブルスで3位に入った岩見沢市出身の東野有紗(23=日本ユニシス)は、昨年12月のワールドツアー・ファイナルで世界1位の中国ペアを破るなど進化を続ける。現在世界ランク3位で日本ペアでは堂々の1番手。着実にオリンピック(五輪)切符を引き寄せ、20年は世界一に照準を定め、ペアを組む渡辺勇大(22=日本ユニシス)との連係に磨きをかける。

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最高の状態で五輪イヤーを迎えた。世界選手権覇者とツアー成績上位8組で争われた昨年12月のワールドツアー・ファイナルは、初戦で世界ランク1位の中国ペア(鄭思維=ジェン・シーウェイ、黄雅瓊=ファン・ヤチョン)を2-0のストレートで撃破。それまで1勝7敗と負け越していた相手から、白星を奪った。

東野 あそこで1回勝てたのは大きかった。その後の準決勝では、相手も作戦を立ててきたので負けてしまったが、やりたいプレーは出せた。相手のスピードについていくだけで終わるのではなかった。ミスも減ったし、楽しめてやれた。今年は、五輪に出ることだけではなく、(世界ランク1、2位の)中国ペアとの差を詰めて、金メダルを取るための準備をしたい。

中学3年からコンビを組む渡辺との連係は抜群だ。2人で五輪レースを勝ち抜くためのイメージは、できている。

東野 渡辺君が前で気持ちよくプレーできるようにしてあげるのが私の役割。五輪までに急に技術を上げるのは難しい。それよりも、これまでのコンビネーションを、いかに磨いていくか。基本的なことを詰めて、ミスや無駄を省いていくことで、自ずとメダルは近づいてくると思う。

19年世界選手権混合ダブルスで、日本勢同種目初の表彰台となる銅メダルを獲得。全日本総合選手権で3連覇、チームとして2季ぶりのリーグ制覇にも貢献した。順調に結果を出してきたが、その裏では困難もあった。

東野 4月のアジア選手権で右足首を捻挫したときは、医者から「1週間は松葉づえ」って言われて。でも練習できない間は、むしろ精神的に成長できたかなと思っている。早く練習に戻りたいとモチベーションも上がったし、リハビリや治療をする中で、いろんな人に助けられた。あの経験があって、それを乗り越えられたから、強くなれた。多くのことにも気づけたし。周囲への感謝の思いを、五輪につなげたい。

男子シングルス世界1位の桃田賢斗、「フクヒロ」「タカマツ」「ナガマツ」と世界上位で競り合う女子ダブルスとバドミントン人気が急上昇している。その中で混合ダブルスも認知させたいという思いが強い。

東野 全日本3連覇したり頑張っているけど、なかなか注目されない。でも、ここからかなと。同じ北海道出身の松本(麻佑)さん、永原(和可那)さんは、世界選手権(女子ダブルス)で優勝しているから。私たちもそこにたどりつけるように、もっと力をつけないと。

結果に追われる日々の中で年1度、大事にしている時間がある。

東野 行きましたよ、昨年6月に札幌で。(リオデジャネイロ五輪女子ダブルス金メダルの)高橋礼華先輩と。三代目J SOUL BROTHERSのライブ。とにかく、格好いいじゃないですか。元気になりましたね。すごいリフレッシュできた。

メリハリを大事にしながら、過酷な五輪レースを勝ち抜いていく。【永野高輔】

◆東野有紗(ひがしの・ありさ)1996年(平8)8月1日、岩見沢市生まれ。岩見沢美園小から福島の富岡第一中に進み、3年時に全国中学女子ダブルス優勝。富岡高卒業後に日本ユニシス入り。17年全日本総合選手権で、中学3年時からコンビを組んでいた渡辺勇大と混合ダブルス初優勝、19年まで3連覇中。18年英国オープン混合ダブルスで日本ペアとして初優勝。右利き。血液型B。160センチ、54キロ。

◆バドミントン混合ダブルス東京五輪への道 20年4月28日の世界ランキングで上位16組の出場が決まる(1カ国からは最大2組)。ランキングは過去1年間のポイントが高い10大会の平均で決まる。東野・渡辺組は現在3位で、日本勢で他に16位以内のペアがいないため、この順位をキープできれば、五輪切符は確実。