新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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日本勢は、1920年アントワープ大会で初出場した。日本勢の最高成績は男女ともに1936年ベルリン大会。男子3メートル板飛び込みで柴原恒雄、女子高飛び込みで大沢玲子がともに4位に入っている。しかし2016年リオデジャネイロ大会まで、日本勢は五輪メダルに届いていない。

近年で最もメダルに近づいたのは、1996年アトランタ大会の女子3メートル板飛び込みだった。3度目五輪の元渕幸(天理DC)が、決勝4本目を終えて2位に浮上。最終5本目を残して、日本人初のメダルという快挙目前となった。しかしラスト直前に「これが最後なんだな、と思うとこれまでのいろんなことが頭を駆けめぐった」。入水直前にわずかに乱れて6位に転落。悲願の初メダルは消えた。それでも元渕は「スポーツの世界では試合を楽しめというけど、これまではどうしてもできなかった。それが今日はこんなにいい緊張状態を続けられた。初めて心から楽しめました」と後悔を口にしなかった。

元渕は同9月に引退して、親子2代オリンピアンの男子金戸啓太と結婚した。そして華、快、凜の3きょうだいを生んだ。「親子3代五輪」を目指す金戸一家の1人として、子供たちの成長を促している。