シニア1年目で青森の渡辺倫果(18=青森山田高)が、後輩の刺激を力に変えた。

冒頭のルッツ-トーループの連続3回転など、大きなミスなくジャンプ7つを着氷。114・63点で個人トップとなり、代表2人の合計で争う都道府県別順位も2位で、上位8チームの本大会(21年1月27~30日、名古屋)進出に大きく貢献した。

演技後は「1~2日前にルッツのタイミングを変えたけれど、トーループをうまく付けられました。すごく良かった点数です」と笑顔を見せた。

普段はカナダを拠点にするが、10月の東北・北海道選手権に向けて帰国。以降は新型コロナウイルスの影響で渡航を控えることを余儀なくされ、木下アカデミーによる支援を受けて、京都で練習している。この日も午前4時に起床し、京都から兵庫の会場にやってきた。

慣れない環境下だが、日々は充実している。先月23日には12歳の島田麻央(木下アカデミー)が、ノービス選手として安藤美姫以来、20年ぶりに全日本ジュニア選手権の表彰台に立った。浜田美栄コーチの下で切磋琢磨(せっさたくま)する年下の選手を見て「麻央ちゃんは4回転もやっている。いろいろな選手がお手本で、モチベーションにすごくなって、打ち込めています」と思いを口にした。

故障で一時控えていたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の練習も今季から再開。全日本ジュニア選手権でその大技を成功させた吉田陽菜(はな、15=木下アカデミー)と、跳び方が似ているという。自身も回転不足ながら着氷させるなど、精度を少しずつ上げている。

「私を受け入れてくれて感謝しかないです。陽菜ちゃんのトリプルアクセルをずっと見ています。日本にいる間に、全てを吸収したいです」

今の照準は全日本選手権(24日開幕、長野)。2年ぶりとなる大舞台で、進化した姿を示す。【松本航】