初の大学日本一を目指す天理大(関西1位)が3大会連続の4強入りを決めた。

新型コロナウイルスの影響で今季初となった関東勢との対戦で、流通経大(関東リーグ戦2位)を78-17で圧倒。CTBシオサイア・フィフィタ(4年)の2トライなど、12トライで弾みをつけた。年明け1月2日の準決勝(東京・秩父宮ラグビー場)では2季前の決勝で敗れた明大(関東対抗戦1位)と対戦。早大(同2位)と帝京大(同4位)も準決勝に駒を進めた。

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一瞬で押されたスイッチを、天理大全員が見逃さなかった。7点リードの前半11分、自陣10メートルライン付近。大黒柱のフィフィタが防御ラインを破った瞬間、右、後ろにサポートが付いた。フィフィタはさらに1人を交わし、最後はタックルを受けながらパス。左から走り込んだハビリが、一連の流れをトライで締めた。フランカー松岡大和主将は「今日は(全体的に)全員の判断が良かったと思います」。動きが洗練されていた。

18年度に全国準優勝、昨季は4強。それでも未知の戦いを強いられた。今季は新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)で夏合宿が中止。対関東勢はこの日が今季初めてだった。5連覇を飾った関西では現在リーグ32連勝中。それでも慢心はなく、フィフィタは今大会に向けた3週間で2キロ絞った。「今までだと攻撃をして休憩したり…。それじゃあ日本一は難しい」。食事量を減らして103キロとし、キレのある動きで自らも2トライを挙げた。

次の舞台は3年連続の準決勝。相手は2季前の決勝で17-22と惜敗した明大だ。今大会の関西勢は同大がコロナ集団感染で出場辞退を余儀なくされ、京産大は初戦で敗れた。松岡はチームを代表し、こう誓った。

「『関西の思いを背負って臨もう』とメンバーには言っている。自分たちだけじゃなく(天理大の)先輩たちも悔しい思いをしてきた。チャレンジャーとしての意地を見せていきたい」

日本一の景色を求め、全てをぶつける。【松本航】