27日まで行われたフィギュアスケート全日本選手権の上位選手らが共演するエキシビション「メダリスト・オン・アイス」が28日、長野市ビッグハットで開演した。

男子で5年ぶり5度目の優勝を飾った羽生結弦(26=ANA)は20選手・組の大トリで登場。「春よ、来い」を披露した。新型コロナ禍の中で落ち込んでいた時、滑ってみて「やっぱスケート好きだな」と立ち直るきっかけになった松任谷由実のナンバー。自身も被災した東日本大震災の後の継続的な復興支援活動や、18年の北海道胆振東部地震の被災地へ届けたこともある曲を、コロナ禍で苦しむ人たちに届くと信じて舞った。

白銀の衣装で3回転ループを跳ぶと、高速スピン、代名詞のハイドロブレーディング、イナバウアーにディレード・アクセルなどを披露。アンコールは、ショートプログラム(SP)のロック曲「レット・ミー・エンターテイン・ユー」を選択した。頭上で手をたたいて拍手を誘い、フィナーレでは紀平梨花と片手側転でコラボした。

演技後は「春よ、来い」について「結構、たくさん滑らせていただいているプログラムですが、いつもより明るく。伝えたいメッセージが(コロナ禍の)この時期にぴったりだったので」と語った。

葛藤がありながら出場した大会については「来てくださって、細心の注意を払って、手拍子だけで応援していただけた観客の皆さんに感謝したい。かなり多くの拍手を送ってくださいましたし、選手一同、本当にありがとうございました」と感謝した。

ファンからの「羽生クンの美しいスケートが世界で1番のエールになっています。感動をありがとう」とのメッセージが読み上げられると「僕のプログラムは特に最近、1つ1つ、メッセージを込めているつもりですし、それぞれオーラが変わるような演技をしたいと思っています。ぜひ、それを感じていただけたら、うれしいです」と呼び掛けた。

来年3月の世界選手権(ストックホルム)代表にも決定。今後について「今季のプログラムはギャップがある。二面性を楽しんでいただければ。フィギュア自体も、楽しんでいただけるように頑張りたいと思います」と話した。

オープニングでは、新フリー曲「天と地と」の水色衣装で氷に乗った。今年の大ヒットアニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」の生声にも乗り、激しくキレキレのアクションにジャンプキックで盛り上げ、スピードスケートかのような快速の滑りも見せていた。【木下淳】

エキシビション写真特集はこちら―>