ラグビー全国大学選手権決勝が今日11日、東京・国立競技場で行われる。12大会ぶりの2連覇を目指す早大(関東対抗戦2位)は10日、上井草グラウンドで最終調整。天理大(関西1位)との初ファイナルを最後に競技の第一線から退くNO8丸尾崇真主将(4年=早実)ら前回王者が、新型コロナウイルス禍で例年とは違う仕上げで団結した。

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世は変わっても伝統は変えなかった。決勝前日、早大が儀式へ向かう。ダミーに天理大の黒ジャージーを着せてタックルし、全選手が地面にたたきつけた。締めの円陣では丸尾主将が仲間の心に訴えた。「覚悟を持って、国立に立とう」。

反対に手順は変えた。例年は全部員で前日練習して決意表明する流れだが、コロナ禍の今年は23人とメンバー外の4年生だけ参加。さらに、異例の年明け2度目となるB、Cチームのゲバ(部内試合)も行い、丸尾らAチームが見守ってから誓いを立てた。相良南海夫監督が「近年なかったけど4年生の志願で」と容認。休息よりも一体感を重視した。全部員が恒例の必勝祈願も4年だけで、三が日を避け、源頼朝の戦勝祈願で知られる井草八幡宮へ参詣した。

前夜は臨時ミーティングも開催した。2日前の練習でBチームにスクラムで押され、丸尾がFW陣を集めた。「腹を割ろう」。1人ずつ全員が意見を出し「逃げずに話し合って、第1列と押し方を共有できた」と第3列の1年生フランカー村田陣悟。大一番の前でも練習の強度を落とさなかった。

先発CTBには平井亮佑が帰ってきた。1浪しての一般入試組。タレント軍団の中で3年まで公式戦出場がなかった男が右足首負傷から約1カ月半ぶりに復帰し、士気も最高潮だ。その控えには、前日の花園で母校の桐蔭学園高が2連覇し、燃えるスーパールーキー伊藤大祐が入り、陣容は相整った。

さあ「丸尾組」の集大成へ。早実初等部から早稲田一筋で、決勝を最後に第一線から退く丸尾は「優勝して終わりたい」。日本一になった時だけ歌える「荒ぶる」こそ自粛するが、2連覇は譲れない。【木下淳】