18年平昌オリンピック(五輪)銀メダルの宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が「4回転時代」の女子選手にエールを求められ、謙遜する場面があった。

この日は今季SP世界2位の102・58点で首位発進。上位3選手が出席した会見の中で、ロシア勢を筆頭に躍進著しい女子スケーターへのエールを求められると、反対にこう答えた。

宇野「まず、もちろん男子の方が4回転ジャンプの発展は早かったと思いますけど、今では(女子も)僕たちと同じような構成で跳んでいるので。(10月2日の)ジャパン・オープンの前だったかな、毎日、僕が練習で全ミスするようなフリーを(ロシアのアレクサンドラ・)トルソワ選手とか跳んでいて。後半に(4回転)ルッツも跳んだりしている。エールを送っていただくのは僕側だと思うんですけど」

女子の中でも世界最強のロシア勢は、宇野でも跳んだことがない、現在成功例があるジャンプの中で最高難度の4回転ルッツを操る選手がおり、高次元の競争を続けている。

宇野も今季は4回転ループ、フリップ、サルコー、トーループの4種5本をフリーに組み込む高難度構成に挑んでいるが、現代の女子選手に敬意を表して、エールを送るどころか「僕側」と謙虚に話した。

今大会は、そのトルソワや日本のエース紀平梨花が負傷で欠場。この日の女子SP直前の6分間練習ではロシアの15歳ウサチョワが右足を痛めて棄権した。

宇野は負傷禍にも言及し「男子の方が、けがはしにくいのかもしれません。でも技術の発展とともに、けがが伴いやすくなっているのかなと。大きく振り返った時、みんながベストの状態でスケートを引退するまで…引退と言うと大きい話になっちゃいますけど、僕はそう思ってます。けがは本当に、つらいので」と思いやっていた。【木下淳】