ショートプログラム(SP)6位の樋口新葉(20=明大)が会心の演技を披露し、自己ベストを更新する141・04点をマークした。10月のスケートカナダでの135・86点を大幅に更新し、合計204・91点まで積みあげ、3位まで追い上げた。

勝負は冒頭のトリプルアクセルだった。前日のSPでは1回転半になっていた大技。「今日の朝もいつもの感じではないなと思いながら、6分間(練習)でしっかり着氷できた。自信をもってやればできると。回転不足にはなったんですけど、着氷はできましたし、すごく落ち着いて滑れたと思います」と修正した。

連続3回転ジャンプなども決めていき、ミュージカル「ライオンキング」の曲に観客も手拍子を集めた。「うれしいことや悲しいことがあり、乗り越えて、最後にハッピーに終われるのをイメージしながら、ライオンキングも同じような物語で、自分がやってきたことを重ねながら滑りたいと思って」と選曲した五輪年の勝負プログラムで、過去最高の出来につなげた。演技直後にはほえるように大きな声を上げて、ガッツポーズを繰り出した。

次戦は全日本選手権になる。北京五輪がかかる大一番。4年前、平昌五輪をかけた試合では代表権を逃した。「4年前は全日本の前に電池が切れたような感じで終わってしまった。今季はだんだん調子が上がってきている。4年前の失敗を繰り返さないためにやってきた」と見据えた。【グルノーブル(フランス)松本愛香通信員】